2009年3月14日土曜日

日本という国の冷たさ感じるのは 同情からではない 

両親と離れ離れ 国が引き裂いた家族の絆 
家族を守れない国の冷たさは、国民の心に残るだろう



毎日新聞 2009年3月13日 21時10分
フィリピン一家:中1長女残し両親は帰国へ

 不法入国で国外退去を命じられ、家族3人での在留特別許可を求めていたフィリピン人のカルデロン・アランさん(36)=埼玉県蕨市=の一家は13日、東京入国管理局と協議し、中学1年の長女のり子さん(13)を日本に残し、アランさんと妻サラさん(38)は4月13日に帰国することを決めた。9日から入管に収容されていたアランさんは仮放免されたが、1カ月後には親子が離れ離れとなる結末に、会見した一家の表情は沈んだままだった。【稲田佳代】
 のり子さんの2年生の始業式が4月8日にあり、夫妻は式を見届けて帰国する。のり子さんの養育のため、サラさんの妹(30)夫妻が東京都内から蕨市に引っ越すという。妹は日本人と結婚し、定住資格を得ている。
 一家は13日夕、東京都内で記者会見した。のり子さんは「両親と離れたことがないので、不安でいっぱい。3人でいられないので、うれしい気持ちではないです」と話した。日本に残ることを希望した理由は「将来のために勉強を続けるのは日本でしかできない。今まで頑張ってきたことをつぶしたくなかった」と説明した。
 アランさんは「家族を応援してくれて本当にありがとうざいます。またいつか日本で生活したい」。サラさんは黙って一礼した。
 夫妻は92、93年に不法入国。06年にサラさんが出入国管理法違反(不法残留)容疑で逮捕され、一家は退去強制命令を受けた。命令取り消しを求める訴訟を起こしたが、最高裁で敗訴が確定。夫妻は不法入国したことを反省しながらも、日本語しか話せないのり子さんの将来のために家族全員の在留特別許可を求めてきた。
 入管は「両親が自主的に帰国の意思を表明しないかぎり、長女の在留特別許可は出せない」とし、13日までに一家3人で帰国するか、のり子さんの在留を求めるかを表明しなければ、サラさんとのり子さんも17日に送還すると通告していた。
 一家は代理人の弁護士を交えて話し合ったが、帰国を決意できなかった。13日は入管と約5時間に渡り協議した末、夫妻は「娘の将来のため」と帰国を決めたという。
 ◇長女の希望考慮…法相コメント
 森英介法相は「長女の希望を最大限考慮して総合的に判断した。長女が今後、近親や周囲の方々に温かく静かに見守られ、安定した生活を送ることを期待している」とのコメントを出した。

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