公務員の政党ビラ配布を処罰するのは憲法違反だ、という判決が出た。
公務員の政治活動に対するこれまでの規制の範囲は不必要に広すぎる。見直すべきだとも指摘した。
なぜなら、東西冷戦下、左右のイデオロギー対立が続いていた時代に有罪とした猿払事件とちがい、
現在は民主主義が成熟し、表現の自由が大切さが国民の深い認識になっている。
こういう見方で、判決は被告への罰則適用について「必要な限度」を超えていると指摘した。
同時に、公務員の政治活動が許される範囲などについて「再検討され、整理されるべき時代」が来ていると付言した。
そもそも、国家公務員法における政治活動への規制とは何か―。
戦後すぐの1948年、GHQ(連合国軍総司令部)によって押しつけられたものだ。
憲法に違反するとして、当時の政府や法務官僚ですら抵抗したものの力ずくで制定された経緯がある。
だから、情勢が変化した1950年制定の地方公務員法では、政治活動にたいする刑事罰規定がはずされた。
本家のアメリカの法律もすでに全面的に改められ、アメリカでは公務員の政治活動は自由だという。
今回の判決は、最高裁が判断できるように時間をかけた、と裁判長が語った。
検察は、上告せず、本判決を確定させるべきだ。
国会では、裁判長が提起した公務員の政治活動が許される範囲などについて「再検討、整理」するべきだ。