「起訴して公開の裁判所で事実関係と責任の所在を明らかにするべきだ」
「これこそが善良な市民としての感覚」と審査会の委員らが全員一致で議決した。
「秘書に任せていたと言えば、政治家の責任は問われなくて良いのか」
まさに裁判ではっきりさせるほうが、政治に対する不信を払拭する機会になる。
国の未来にかかわる難題が、鳩山内閣にかぶさっている。
そんなときに、小沢氏が与党幹事長として居座ることのマイナスは計り知れない。
選挙で勝つために、マニフェスト変更の公約破りをはじめ強権的手法も問題だ。
せっかく自公政権の悪政を『変える』という国民は期待したのに
それも、裏切ることになりそうな気配だ。
小沢氏の居座り。
それに何もいえない民主党の議員たち。
この国の方向を間違える赤信号が点滅し始めた。
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2010年4月28日付 各紙の社説は次のとおり。
「起訴相当」―小沢氏はまだ居直るのか(朝日)
小沢氏起訴相当 「公判で真相」求めた審査会(読売)
小沢氏「起訴相当」 全員一致の判断は重い(毎日)
小沢氏に進退を迫る「起訴相当」の重み(日経)
小沢氏「起訴相当」 やはり議員辞職すべきだ(産経)
小沢氏起訴相当 重い市民感覚の議決(東京)
朝日新聞 2010年4月28日(水)付印刷
社説:「起訴相当」―小沢氏はまだ居直るのか
政治資金規正法違反の疑いで告発されていた民主党の小沢一郎幹事長について、検察審査会が「起訴相当」と議決した。無作為で選ばれた審査員らは議決理由で「起訴して公開の裁判所で事実関係と責任の所在を明らかにするべきだ」とし、「これこそが善良な市民としての感覚」と述べた。
正式な起訴に至るかどうかは、検察当局の再捜査やそれを受けた検察審査会の2度目の審査を待つ必要がある。予断は控えなければならない。
ただ、今回の議決は、不透明な金銭の流れなど、疑惑が浮上して以来、多くの人が抱いていたのと同様の疑問を列挙した。そのうえで、小沢氏は秘書らと共謀し、政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたと強く推認できると結論づけている。
議決書だけでは具体的な証拠内容やその評価がいまひとつはっきりせず、検察や裁判所が従来とってきた事実認定の厳格さとは比べられない。
しかし「『秘書に任せていた』と言えば、政治家本人の責任は問われなくて良いのか」という指摘は、先の鳩山由紀夫首相に対する検察審査会の議決同様、国民の声を代弁するものだ。
このいら立ちや閉塞(へいそく)感を生んだのはほかならぬ小沢氏である。検察に対し強硬な対決姿勢を見せたかと思うと、不起訴処分が出た後は「公平公正な検察の捜査の結果として受け止める」と述べ、「嫌疑不十分」との裁定を無実の証明であるかのように扱う。国会での説明を求められても一切応じない。
民意に正面から向き合おうとせず、居直りというほかない態度をとることへの拒否感、嫌悪感が、政策の迷走とあいまって、鳩山内閣や民主党の支持率を押し下げている。時がたてば忘れられるのではなく、時がたっても手を打たず、自浄作用を働かせないことへの不信が深まっているのだ。
信頼回復のために取り組むべき課題は山ほどある。企業・団体献金の禁止はもちろんだが、それだけではない。政治家が資金管理団体や政党支部など数多くの「財布」を持ち、見えにくくしている資金の流れを透明にするにはどうすればよいか。審査会が問題提起している政治家本人と秘書の関係をどう整理し、責任をいかに果たすのか。
こうした議論を避け続けてきたことへの怒りは臨界点に達し、政治の足元を掘り崩そうとしている。小沢氏がめざした二大政党による政権交代のある政治も、ようやく形が整ったと思ったとたんに、両党から有権者が離反し、溶解が始まっている。
議決を受けて小沢氏は幹事長続投の考えを示したが、大局に立った判断をすべきだ。一刻も早く国会で説明する。それができないのであれば、幹事長職を辞し、民主党の運営から手を引く。無駄にできる時間は、もうない。
(2010年4月28日01時19分 読売新聞)
小沢氏起訴相当 「公判で真相」求めた審査会(4月28日付・読売社説)
民主党の小沢幹事長を「不起訴」とした検察の判断に、「善良な市民感覚」が強烈なノーを突き付けた形だ。
注目されていた検察審査会の議決は、「不起訴不当」から踏み込んで「起訴すべきだ」との結論になった。
小沢氏に疑わしい事実がある以上、裁判の場で事実関係と責任の所在を明らかにしてもらいたいという、極めて常識的な判断が投影されている。
検察は、まずは再捜査に全力を挙げるべきだ。
その結果、再び不起訴でも、2回目の審査で起訴相当なら裁判所指定の弁護士による強制起訴となる。次の節目で検察が、議決を入れて起訴に踏み切るかどうかが注目される。
小沢氏は、議決を受けて「意外な結果で驚いている。検察が適正に判断すると信じている」と語った。小沢氏は審査会の指摘した疑惑については、説明責任を果たさなければならない。
審査会の判断のポイントは、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の事務担当者だった石川知裕衆院議員(政治資金規正法違反で起訴)らの供述の評価だった。
石川被告は、陸山会が東京都内の土地代金などに充てた4億円について、収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告、了承を得たと東京地検に供述している。
これに対し小沢氏は「知らない。担当者が真実を記載したと信じ、了承した」と共謀を否定した。
地検は、石川供述は具体性を欠くなどとして最終的に小沢氏の起訴を見送ったが、審査会は石川供述などを基に、小沢氏の弁明を「不合理・不自然で信用できない」と言い切っている。
しかも、小沢氏が「マスコミに騒がれないための手段」として、4億円が自らの資金であることを隠蔽する「執拗な偽装工作」をしたとも指摘している。
有罪立証を第一に考える検察官とは違う視点で起訴を求めた。
審査会の「市民感覚」が端的に表れているのは次の部分だ。
「秘書に任せていたと言えば、政治家の責任は問われなくて良いのか」「政治家とカネにまつわる政治不信が高まっている状況下、市民目線からは許し難い」
これらは多くの国民にも共通した思いだろう。
陸山会事件では「検察リーク」などの捜査批判も起きた。市民感情に流されての捜査は禁物だが、検察にも、国民が納得できる説明が求められよう。
毎日新聞 2010年4月28日 東京朝刊
社説:小沢氏「起訴相当」 全員一致の判断は重い
市民が検察の不起訴処分に強くノーを突きつけた。
民主党の小沢一郎幹事長が代表を務める資金管理団体「陸山会」をめぐる事件で、東京第5検察審査会が「起訴相当」を議決した。小沢氏を容疑不十分で不起訴処分にした東京地検の判断をひっくり返したのだ。
小沢氏は検察の処分について「1年間の強制捜査で潔白を証明してもらったと思っている」と主張してきた。だが、検察と全く同じ証拠を基に、審査会は「起訴すべきだ」と議決した。しかも議決は、小沢氏の供述を「信用できない」とまで指摘する。そもそも検察の処分は「容疑は不十分」というもので、潔白の証しとの主張は強引である。小沢氏は議決を重く受け止めるべきだ。
無作為で選ばれた審査員11人が、検察官の不起訴処分の妥当性を判断する制度である。今回は全員一致で「起訴相当」を議決した。
事件では、石川知裕衆院議員ら元秘書3人が、土地購入の際に小沢氏から4億円を借りながら、返済分も含め政治資金収支報告書に記載しなかったとして起訴された。議決は、虚偽記載について「絶大な指揮命令権限を有する」小沢氏の共謀が成立するとの認定が可能だと述べる。
その最大の根拠は、石川被告と元私設秘書の池田光智被告が、報告書の提出前に、それぞれ小沢氏に報告や相談、説明や了承を得ていると供述したことを挙げる。
検察はこの供述だけでは具体性を欠き、共謀を裏付ける物証もないと結論づけた。裁判で確実に有罪を得るため、いわば「高いハードル」を自らに課したのである。
これに対し、議決は「秘書に任せていた」と言えば、政治家の責任は問われなくていいのかと批判し、「政治とカネ」で政治不信が高まる中、市民目線からは許し難いと主張する。事実を解明し、責任の所在を明らかにすべき場所は、法廷だというのである。率直な問題提起だろう。
一義的には地検の処分へのノーである。地検は、議決の趣旨を踏まえ最大限再捜査を尽くし、処分を検討すべきだ。仮に再び不起訴になっても、審査会がもう一度「起訴相当」を議決すれば、小沢氏は「強制起訴」される。その意味からも重い議決だ。
この議決は、鳩山政権にとっても大打撃だ。そもそも鳩山由紀夫首相本人の偽装献金事件と小沢氏の事件について、国会で説明をせずけじめをつけなかったのがつまずきの出発点ではなかったか。普天間問題もあり、結果的に鳩山内閣の支持率は危険水域にまで下がった。小沢氏は事件について国会で説明すべきである。再捜査を理由に説明しなければさらに傷は深まる。
日経新聞 2010/4/28付
社説」小沢氏に進退を迫る「起訴相当」の重み
「市民目線からは許し難い」。小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入事件で、不起訴になった小沢氏を「起訴相当」と断じた東京第5検察審査会は、議決書で小沢氏をこう指弾した。有権者のなかから無作為に選ばれたメンバーで構成され、検察をチェックする検察審の重い言葉である。
陸山会の土地購入資金は小沢氏が提供した。その4億円ものカネについて政治資金収支報告書に書き込まなかったとして秘書3人が起訴されたのがこの事件だ。検察は小沢氏に政治資金規正法違反(虚偽記入)の共犯の嫌疑をかけて調べたが、十分な証拠がなく不起訴で終わった。
しかし市民の常識は別の次元にある。小沢氏が自ら提供した4億円の不記載に気づかないとはとても信じられない。ここは裁判で真実を明らかにすべきだ、という判断だ。
そもそもこの事件では4億円の出所が疑惑の核心だった。検察はその違法性を探っていたのだが、捜査は迷走し、規正法違反での小沢氏立件を目指しながら断念した経緯がある。検察審の議決には、そうした検察へのいらだちも見て取れる。
議決を受けて東京地検は再捜査に乗り出す。難航も予想されるが、議決の重みを受け止め、証拠も再吟味して調べを尽くす必要があろう。
小沢氏と民主党も、当然「起訴相当」の重みを厳しく受け止めなければならない。再捜査を経た起訴がありうるし、そうならなくても検察審が再度の起訴議決をすれば強制起訴の手続きが取られるのだ。
小沢氏は国会審議の場で、自身や元秘書らの関与や責任について一度も説明をしていない。不起訴が決まった後は潔白が証明されたかのような言動を続けてきた。与党も小沢氏や関係者の参考人招致や証人喚問を求める声に背を向け、「企業・団体献金禁止」などの制度改革に議論をすり替えるような対応が目立つ。
しかし、小沢氏が刑事被告人になる可能性が現実味を帯びてきた。「政治とカネ」の問題が夏の参院選の大きな争点になるのは避けられない。説明責任に背を向け続けるなら、幹事長辞任を求める空気が一気に強まる展開も予想される。
鳩山由紀夫首相の資金管理団体の偽装献金事件でも、東京第4検察審査会が実母からの資金提供を知らなかったとの説明に強い疑問を投げかけた。政治資金に絡んだ事件で民主党の所属議員や秘書らの起訴が相次いだのに、誰も責任を取ろうとはしない。検察審査会の判断は自浄能力を果たさない政治への警鐘である。
産経新聞 2010.4.28 03:39
【主張】小沢氏「起訴相当」 やはり議員辞職すべきだ
再捜査で問われる検察の責任
天網恢々(てんもうかいかい)疎にして漏らさず、と形容した方がよいのだろう。
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会が小沢氏の「起訴相当」を議決した意味合いである。
土地購入をめぐり、21億円余の巨額の虚偽記載で側近議員や秘書らが起訴されたこの事件は、「秘書の犯罪」で済まされる事件ではなく、小沢氏の関与が焦点だった。だが、小沢氏は東京地検特捜部に事情聴取されたものの嫌疑不十分で不起訴となった。
これに対し、審査会は「共謀共同正犯が成立するとの認定が可能」と断じた。国民から選ばれた11人の検察審査員全員が一致して小沢氏の刑事責任を認めたきわめて重い判断である。
議決を受けて東京地検は再捜査を行い、3カ月以内に起訴か不起訴の処分を決めなければならないが、小沢氏は「潔白」を主張する根拠を失ったといえよう。刑事責任の問題に加え、政治的さらに道義的責任は明白だ。
やはり議員辞職を決断すべきときである。
陸山会の規正法違反事件では、現職衆院議員の石川知裕被告と小沢氏の元公設第1秘書の大久保隆規被告らが起訴された。
≪「共謀の認定」は重い≫
地検特捜部は小沢氏の事情聴取に踏み切ったが、虚偽記載への関与が立証できず、元秘書らの責任を問うにとどまった。その捜査結果が国民の政治不信を募らせる一因になった。
検察審査会は、法律で定められた国の機関で、以前は議決に法的拘束力がなく参考意見にとどまった。だが司法改革の一環で、裁判員制度導入とともに検察審査会法が改正され、2度の「起訴相当」議決で強制起訴を可能にするなど、民意を反映するために権限が強化された。
政治資金規正法違反は、政治家が扱う資金の透明性を損ない、国民を欺く重大な犯罪だ。しかも虚偽記載額がきわめて多額で、複雑な資金操作で土地購入の原資を隠そうとした意図がみえる。秘書の独断で行えるものとは考えにくく、東京地検特捜部による捜査結果は到底、納得できるものとはいえない。
一方、検察審査会の議決内容は明快だ。石川被告らの供述内容や土地購入原資を隠すために行われた銀行融資の申込書などに小沢氏の署名・押印があるなどの状況証拠を踏まえ、小沢氏の共謀が認められるとした。
小沢氏の説明を「きわめて不合理・不自然で信用できない」と退け、「絶対権力者である小沢氏に(秘書らが)無断で資金の流れの隠蔽(いんぺい)工作などをする必要も理由もない」との疑問も呈した。
再捜査にあたる検察当局は検察審査会の議決を真摯(しんし)に受け止め、その存在意義をかけて国民が納得できる結果を出す責任がある。未解明であるゼネコンの裏金疑惑なども解明すべきだ。
≪辞任せずと開き直り≫
小沢氏は不起訴処分を潔白のお墨付きのように強調して開き直り、事件の詳細について説明責任を果たさず、野党の証人喚問要求にも応じなかった。
そうした姿勢に、国民はきわめて厳しい視線を向けてきた。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、小沢氏が説明責任を果たしていないと思う人がほぼ9割に達しているほか、7割の人が幹事長辞任を求めた。
鳩山由紀夫首相の政治資金問題でも説明責任が不十分との見方が8割を超えている。だが2人とも、政治的、道義的責任をとろうとしていない。
小沢氏は27日夜、幹事長職を辞任しない意向を示したが、状況は一変した。2度目の「起訴相当」議決を経て強制起訴される可能性も出てきた。
小沢氏が出処進退を決断しないかぎり、参院選に向かう時期に与党幹事長の起訴の有無が最大の焦点になる。まともな党運営などできる状態ではなかろう。
民主党内では、小沢氏に近い議員らが押し切る動きをみせている。岐阜県連や連合静岡など地方組織や支持団体から小沢氏の辞職論などが出されても、執行部は封じてきた。
異論を認めず、体制維持を押し通そうとする発想が、政党の自浄作用さえ働かないことに結び付いている。執行部体制とともに、党の体質を転換することが求められている。
東京新聞 2010年4月28日
【社説】小沢氏起訴相当 重い市民感覚の議決
小沢一郎民主党幹事長の政治資金問題をめぐり、検察審査会が「起訴相当」と議決した。「市民目線からは許し難い」の言葉は極めて厳しい。検察も国民が納得する再捜査を尽くさねばならない。
「起訴して公開の場で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。これこそが善良な市民としての感覚である」
検察審査会が出した議決書の結びの一文が、すべてを物語る。「不起訴」という東京地検の結論を、十一人の市民で構成する検察審査会が覆した意味は重大だ。検察が再捜査し、また「不起訴」とした場合、審査会が二度目の「起訴相当」の議決をすれば、弁護士が検察官役となり「強制起訴」する運びとなる。
小沢氏にとっては、政治資金規正法に絡む疑惑が晴れぬ状態が今後も続く。夏の参院選を前に、民主党には大ダメージとなることは間違いない。地方組織や党内にくすぶる批判の声が、新たな火の手になる恐れも十分ある。
問題の焦点は、資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件への小沢氏の関与だ。小沢氏は「担当者がありのまま記載していると信じていた」と述べたが、審査会は「不合理・不自然で信用できない」と退けた。
収支報告書の提出前に、側近らが小沢氏に報告・相談した趣旨の供述を直接的証拠としたからだ。小沢氏が提供した四億円を原資に陸山会が土地を購入した件も、小沢氏自身が関係書類に署名しており、状況証拠と考えた。
この際、陸山会は銀行融資を受けてもいるが、「金利を支払ってまで執拗(しつよう)な偽装工作をしている」と判断された。そもそも側近らが「絶対権力者」たる小沢氏に無断で隠蔽(いんぺい)工作をする必要がないとも指摘した。絶大な指揮命令権限を持つ小沢氏の地位と側近らの立場を総合的に見て、「共謀」の成立に導いたわけだ。
一般市民の常識が反映された結果といえる。共同通信が今月上旬に行った世論調査で小沢氏について「幹事長を辞めるべきだ」との回答が実に81・4%にも達したのも、カネにまつわる不信の表れだ。
検察当局も今後、そうした市民感覚を意識せざるを得まい。
「政治資金は一円に至るまで全面公開し、完全に透明にする」と自著で述べたのは小沢氏だ。一円どころか、億単位の「偽装」だ。小沢氏は議決を厳粛に受け止め、さらなる説明をすべきだ。
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