2010年8月8日日曜日

「核抑止力は必要」で核兵器はなくせるのか?

菅首相が「核抑止力は必要」と発言した。
一方で、式典では「核兵器のない世界の実現へ先頭に立って行動する道義的責任を有する」とあいさつ。

運動団体が「二枚舌と言われてもやむを得ない」と抗議している。

昨年、政権交代前の麻生太郎首相が同様の発言をして問題になった。
「同じことを言うのなら自公も民主も変わらないということになる。核兵器廃絶という考えはないのか。情けない」
まったく同感だ。

どうも、政権に就いたら、理念も何もかも投げ捨てても恥ずかしくないのか。
それとも、もともと理念も何もなかったということなのか。






中国新聞 '10/8/8
核抑止力発言で首相に抗議文
菅直人首相が「核抑止力は必要」と発言したことに対し、広島県原水協と広島県被団協(金子一士理事長)は7日、「核兵器廃絶に本気で取り組もうとしているのか疑問だ」などとする抗議文を首相官邸に送った。
菅首相は6日、広島市での平和記念式典後の記者会見で「核抑止はわが国にとって引き続き必要であると考えている」と述べた。
抗議文は、菅首相の発言について「核の傘からの離脱を求めた広島市の平和宣言を真っ向から否定する考え」と指摘。「核兵器のない世界の実現へ先頭に立って行動する道義的責任を有する」とした式典でのあいさつに矛盾し、「二枚舌と言われてもやむを得ない」としている。

長崎新聞 2010年8月7日
「潮流に逆行」長崎で怒りの声 首相の「核抑止力は必要」発言
菅直人首相が6日、広島市での記者会見で「核抑止力はわが国にとって引き続き必要」などと述べたことに対し、被爆地長崎では「核軍縮、核廃絶の潮流に逆行する発言」など反発する声が聞かれた。
長崎原爆遺族会顧問の下平作江さん(75)は「核兵器で守ってもらおうとする考え方自体が間違っている。首相自身がもし被爆者で親や兄弟が原爆で殺されたとしたら、核抑止力という言葉など使えないはず」と訴えた。長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄会長(81)は「被爆国のトップとして許せない発言。9日に来崎する首相に被爆者5団体で要望する際、問題にしたい」と怒りに声を震わせた。
「昨年、同時期に当時の麻生太郎首相が同様の発言をして問題になった」と指摘するのは、県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(70)。「官僚が書いた文章を述べたのだろう。同じことを言うのなら自公も民主も変わらないということになる。核兵器廃絶という考えはないのか。情けない」と語った。
非政府組織(NGO)核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委の朝長万左男委員長(67)も「従来の政府方針を踏襲した発言。がっかりする」と批判。「先制攻撃の放棄など核兵器の役割を減少させていく取り組みが必要。政府はステップを明示しながら核兵器廃絶へ進むべきだ」と求めた。

(2010年8月8日09時43分  読売新聞)
「核抑止力は必要」発言に矛盾?首相に抗議文
広島の原水爆禁止県協議会(大森正信・筆頭代表理事)と県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)は7日、菅首相が6日の平和記念式典後の記者会見で、「核抑止力は必要」と述べたことに対する抗議文を、首相あてにファクスで送った。
抗議文は、菅首相が式典のあいさつで、「唯一の被爆国として、『核兵器のない世界』実現に向けて先頭に立って行動する道義的責任を有している」と述べたのに対して、記者会見では核抑止力の必要性を主張したことを、「発言は全く矛盾する」などと批判。「一刻も早い核兵器廃絶と被爆者援護のため、全力をつくすべきだ」と求めている。


朝日新聞 2010年8月6日12時39分
「核抑止力は引き続き必要」菅首相、平和祈念式後に
菅直人首相は6日午前、原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式(平和記念式)に出席後、広島市内で記者会見し、「核抑止力は、我が国にとって引き続き必要だ」と述べた。広島市の秋葉忠利市長が平和宣言で「核の傘」からの離脱を求めたことへの対応を問われたのに対して答えた。記念式では「核の傘」への言及は避けていた。
一方、秋葉市長が求めた非核三原則の法制化について、首相は「非核三原則を堅持する方針に変わりはない」と述べた。ただ、仙谷由人官房長官は6日午前の会見で「改めて法制化する必要はない」と否定的な認識を示した。
また、首相は平和記念式で明らかにした「非核特使」構想について「政府として応援するため取り組みたい」と語り、原爆被爆者を「非核特使」に任命し、国際会議などで核兵器の非人道性を訴えられるよう取り組む考えを表明。北朝鮮の核開発をめぐる6者協議については「韓国の哨戒艦沈没事件に北朝鮮の関与が明らかになった問題もあり、何事もなかったように(協議)再開するのは難しい」と話した。

朝日新聞 2010年8月7日0時2分
「核軍縮の思いは共通、一方で現実も」6日の菅首相会見(1/5ページ)
菅直人首相が6日、広島市での記者会見で語った内容は次の通り。
――広島市の秋葉市長の平和宣言のなかで、日本政府に対して「核の傘」からの離脱する構想、あと、非核三原則の法制化を求める部分があったが、これらについてどのように考えるか。
「まず、あの秋葉市長のそうした発言というのは、我が国が特に広島・長崎が受けたこの原爆の惨禍を二度と、ま、繰り返してはならないと。そうした核軍縮に向けた強い思いを込めて、おっしゃったんだと思っております。ま、そうした思いは共通なところもあります。一方、国際社会では、核戦略を含む、ま、大規模な軍事力が、まだまだ存在しており、また、核兵器を始めとする大量破壊兵器の拡散といった現実もあるわけでありまして、そういった、引き続き不透明、不確実な要素が存在するなかでは、抑止力というものは、核抑止力というものは我が国にとって引き続き必要であると、このように考えております。また、非核三原則については、私の内閣においても、堅持することに、その方針に変わりはありません。非核三原則は、我が国の重要な政策として内外に知られていると、このように理解をいたしております」
――総理という立場で式典に参列し、被爆者の方に会った感想と、原爆認定制度や「黒い雨」地域の見直しなど、体内被曝など被爆者援護策について、現在何を考えているか。
「えー、この8月6日の平和の式典には、私もかなり出席をいたしておりますが、今日は総理という立場で初めて参加をし、また被爆者の皆さんに直接お話を聞く機会を、かつて厚生大臣の時にもありましたけれども、改めて機会をいただいたことは大変よかったと思っております。えー、まあ特にあの、先ほどの会合の中で、私のあいさつに対して、ま、非常に具体的なことにまで踏み込んであいさつしてくれていたことに、ま、そういう点で評価をいただいた部分もありました。まあ今回は、この広島に加え、被爆者のみなさんの思いを、事前にも色んな関係者からお聞きをして、できるだけそれに沿った形で私からも申し上げたいということで、そうしたあいさつに致したところです。そういった中で今、体内被曝のお話もありましたけれども、そういった皆さん、あるいはそのご家族の希望に対してもしっかりと受け止めて対応してきたいと思っております。また今、国際的に核軍縮、核廃絶の動きが高まるなかで、非核特使といったことにも触れて、触れさせていただきましたけれども、こうした活動をしておられるNGOの皆さんの中でぜひそうした機会に、非核特使という形を含めて活動をしていただけるよう政府としても応援をしていきたい、このように思っております。また、黒い雨の地域の問題など、おー、いくつかの要請をいただきましたが、まあ私からも応えられるところは応えましたが、厚生労働省においてですね、専門家の皆さんの研究も含めて、しっかりと取り組んでいただきたいと、こう考えて指示を致しております」
――広島市の秋葉市長は、日本政府に対して「唯一の被爆国というからには、都合のいいときにだけ言葉を使うだけでなく、それなりの責任を果たす覚悟を持っていると思う」と今週述べているが、政府として、内閣総理大臣として、今後核兵器廃絶に向けてどのように取り組んでいくのか。また、非核特使の開始時期や予算がは決まっているのか。
「これまでもですね、我が国としては、色々な努力をしてきたところであります。例えば昨年、我が国が国連総会に提出した核軍縮決議案は、初めて共同提案とアメリカがなっていただいた。そして、過去最高の87カ国の共同提案を得て、圧倒的な多数の賛成で採択をされました。ま、唯一の戦争被爆国として、これまで歴代政権が取り組んでこられた、そういった努力を、さらに積極的に私自身も進めていきたい。ま、どういう機会、どういう場面がふさわしいか、これから色々な場面があると思いますが、そういう秋葉市長のある意味での激励というか、しっかりやらなきゃ駄目だぞという、そういうことをしっかり私も受け止めていきたいと、こう思っております。また、非核特使については、えー、今、具体的にこれが決まっているということを申し上げるところまでいっておりませんが、昨年のニューヨークでの活動など、色々な活動が今後も必ずあると思いますので、そういうところについては、政府として応援するということも含めて、取り組んでいきたいと、こう思っております」
――今日の総理の式典のあいさつの中で、どのような部分にこだわりをもって考えたのか。また、米英仏の大使らが初めて式典に参列したが、この意義をどう考えるか。
「先ほどのお答えとも少し重なりますけれども、ま、私は今回あいさつ文を作るにあたって、ま、あの、こちらの国として、あるいは政府としての思いを伝えるということを、だけではなく、あるいはそれ以上に、実際の被爆者の皆さん、あるいは広島の皆さんが、どんな思いを持たれているのか、それに対して、少し具体的にお答えをしようということで、そういう姿勢であいさつを考えさせていただきました。ま、そんな中から、先ほども出ております非核特使といった考え方。あるいは、色々な認定を急ぎたいという考え方、さらには、体内被曝の方に対する政府としての積極的な対応、ま、そういうものを含めてあいさつに盛り込ませていただきました。ま、先ほどの被爆者団体の皆さんとの会合でも、そういった部分に触れていたことに対して、ある意味、感謝の言葉をいただきましたけれども、逆にいえばそれを、政府としてもそうして具体的なことにもしっかり今後も取り組む、そのことが伝わったのではないかと思っております。また、米英仏の大使が初めて参列をした。ま、さらに潘基文国連事務……局長、あ、事務総長、国連事務総長としては歴代初めての参加というふうにお聞きをいたしております。ま、こういう皆さんが参加をいただいて、日本国民の二度と核兵器による惨禍を招いてはならないという強い思いをですね、それぞれの国に、あるいは国連に、お持ち帰りいただけることは大変、そういった意味で喜ばしいこと、歓迎をさせていただいたところであります」
――潘基文国連事務総長が核廃絶を世界に訴えたが、北朝鮮の核を巡る問題で目立った進展はない。6か国協議の再開なども含めて、北朝鮮に対して具体的にどういった働きかけをしていくのか、またそのスケジュールはどうなっているか。
「ま、この北朝鮮の核開発は我が国とってだけでなくて、まさに世界の核廃絶・核軍縮の方向に反する行動でありますので、それをなんとしても押しとどめていかなければならないとこのように思っております。そういった意味では、国際的にも国連という場を通しても、関係国と連携をして、最大限の努力をしなければならないと思っております。ま、北朝鮮をめぐる問題の解決のため6カ国協議、いわゆる6者会合というものが従来から現実的な枠組みで存在をいたしております。ま、そのことは大変重要な場だとは思っておりますけれども、最近の例えば韓国の哨戒艦沈没事件に北朝鮮が関与していたことが明らかになっているといった問題もありまして、そうしたことに対して、ま、何事もなかったように6者会合を再開するということには、なかなか難しい状況ではないかと思っております。ま、いずれに致しましても、北朝鮮をめぐる、の核をめぐる問題は、しっかり関係諸国、さらには国連のかかわりも含めて取り組んで、核のない韓半島を実現する、維持するそのことが大変重要だと思っております」
――11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の場などでオバマ米大統領に直接被爆地訪問を求める考えはあるか。
「ま、昨年11月にオバマ大統領が我が国を訪問された時に、大統領ご自身がですね、広島・長崎を訪問することは非常に意義深いことだと思うという発言をされております。ま、私もそれが実現すれば。大変意義の深いことだと思っております。いずれにしても、この問題は最終的に決められるのはアメリカ大統領、あるいはアメリカ側でありまして、現在の段階で、あまりですね、私の方からこうすべきとか、こうあるべきとかということを、あまり予断を与えるようなことを申し上げるのは、控えた方がよろしいのではないかと私自身は思っております」

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