2011年9月23日金曜日

日米首脳会談 沖縄の声なぜ聞かぬ 「銃剣とブルドーザー」で基地を押し付けるつもりか

野田首相の訪米と前後し、仲井真弘多沖縄県知事がてアメリカを訪問し訴えた。

「住民や首長を含めて、みんなが反対しているものを実行できるのか。
それでは、銃剣とブルドーザーでやるということになってしまう」と。

「沖縄の声がなぜ届かぬ」(東京)
「民意否定して民主主義か」(琉球新報)
民主党政権の対米従属、反国民的な姿が浮き彫りになっている。

普天間基地の代替地は、沖縄県内だけでなく、日本国内のどこにもない。
政府は「日米合意」を白紙撤回すべきなのだ。

東京)日米首脳会談 沖縄の声がなぜ届かぬ(9/23)
琉球新報)日米首脳会談 民意否定して民主主義か(9/23)
沖縄タイムス)[普天間問題]「構造的差別」断ち切れ(9/22)

<2011年9月23日(金)付 各紙社説>
朝日)日米首脳会談―外交立て直しの起点に
読売)日米首脳会談 同盟深化へ「結果」を出す時だ
毎日)日米首脳会談 鳩菅外交の轍を踏むな
日経)普天間問題の先送りはもう限界だ
産経)日米首脳会談 首相は総力挙げ結果出せ
赤旗)日米首脳会談 直結外交で国民犠牲続けるか





東京新聞 2011年9月23日
【社説】日米首脳会談 沖縄の声がなぜ届かぬ
野田佳彦首相が日米首脳会談で米軍普天間飛行場の返還に関し、沖縄県名護市辺野古に県内移設する日米合意に基づいて進める考えを示した。国外・県外移設を求める県民の声はなぜ届かないのか。
想像はしていたが、やはり残念だ。首相とオバマ米大統領との初顔合わせとなった日米首脳会談。首相は県内移設に向けて「沖縄の負担軽減を図り、理解を得られるよう全力を尽くす」と伝えた。
辺野古への移設は、名護市をはじめ、公有水面埋め立ての許可権を持つ仲井真弘多県知事が反対しており、実現はかなり難しいのが実情だ。首脳同士の初顔合わせは厳しい現状を直接伝える好機だったが、首相は逸してしまった。
大統領は「これからの進展に期待する。結果を求める時期が近づいている」と語ったという。
首相がやるという以上、大統領が期待するのも当然だが、首相にそれをやり遂げる確たる見通しや覚悟があるのか。甚だ疑問だ。
野田内閣は沖縄振興のための新たな一括交付金を二〇一二年度予算から導入するという。公式には一括交付金と普天間問題とは別としているが、県内移設の前進につなげたい思惑が透けて見える。
沖縄県側が三千億円の一括交付金創設を求めているとはいえ、札束で県内移設を受け入れさせるなら、県民の反発を買うだけだ。
仲井真知事は首相とほぼ同時期に訪米し、米上院軍事委員会のレビン委員長らと会ったり、ワシントンの大学で講演したり、記者会見したりして、県内移設の難しさを米側に直接伝えた。
外交は政府の専権だが、沖縄県知事の度重なる訪米は日本政府が沖縄の実情を直視せず、県民の声を聞き入れようともしないことへの、やむにやまれぬ行動だろう。
レビン氏らが提案した普天間飛行場の米空軍嘉手納基地統合案はにわかには受け入れがたいが、米議会の方が沖縄の実情を理解していると言ったら言い過ぎか。
首相には県内移設のためにわれわれが思いも寄らない妙案があるのか。それとも米軍占領下の沖縄で基地用地を強制収用した「銃剣とブルドーザー」のような手法で新しい基地を造るつもりか。
県内移設を強行すれば、県民の対米軍感情は決定的にこじれ、日米同盟の健全性は失われる。首相はそこまでを見通して日米合意推進を大統領に誓ったのだろうか。できない約束はしない。民主党は政権に就いて学んだはずだが。

琉球新報 2011年9月23日          
社説:日米首脳会談 民意否定して民主主義か
これほど中身の乏しい会談は、過去にあまり記憶がない。指導者としての情熱や展望が感じられず、官僚の振り付け通り言葉を躍らせただけではないか。
野田佳彦首相とオバマ米大統領の日米首脳会談で、首相は米軍普天間飛行場について「日米合意に基づき推進する」と述べ、名護市辺野古への移設をあらためて約束。大統領は「結果を求める時期が近づいている」と応じ、具体的な進展への日本側の努力を求めた。
鳩山、菅両政権の時代から首脳会談のたびに「日米合意の推進」をことさら強調する日本側の対応は、首をかしげざるを得ない。
辺野古移設案は県民の支持を全く得られず、さらに米議会の支持も失った。現実主義者を自認する政治家や官僚など「安保マフィア」と言われる人々は、自らが「非現実主義者」化している現実に気付かないのだろうか。
日米同盟関係について、首相は「日本外交の基軸と考えていたが、大震災後、信念はさらに揺るぎないものになった」と強調したが、肝心なのは日米関係が幅広い国民の信頼に裏打ちされているかだ。
首相は、国民の間で賛否が割れる環太平洋連携協定(TPP)への日本の参加について「早期に結論を出す」と明言したが、まともな国会論議も国民的議論もなく、合意形成とは程遠い状況だ。
にもかかわらず、口先で揺るぎない関係を演出し、国民の政治への信頼、政局そのものを揺るがしては、しゃれにもならない。
首相の「信念」発言に呼応し、大統領は「同盟を21世紀にふさわしいものに近代化していきたい」としたが、真意が定かでない。
前原誠司政調会長ら民主党政権の実力者から憲法が禁じる集団的自衛権の行使に絡む、前のめりの発言も散見されるが、これをもって、大統領がもし「同盟の近代化」を期待するのなら早合点だ。集団的自衛権の行使を認める国民合意は日本に存在しないからだ。
辺野古移設については、仲井真弘多知事をはじめ大多数の県民が反対し「実現不可能」と考えている。この期に及んでなお首相や外務官僚が米側に期待感を抱かせる発言を繰り返すのは罪深い。
民主主義の価値観を共有する日米両国による民意の否定は、国際社会に自らの恥をさらすに等しい。いい加減、自覚してもいいころだ。


沖縄タイムス 2011年9月22日 09時14分
社説:[普天間問題]「構造的差別」断ち切れ
ニューヨークでクリントン国務長官と会談した玄葉光一郎外相は「推進」と言い、ワシントンで講演した地元沖縄の仲井真弘多知事は「反対」を主張する。実に「異様な光景」だ。
米軍普天間飛行場の移設問題で仲井真知事は、県議会与野党、市町村長がこぞって辺野古移設に反対していることを強調した。
県知事がわざわざ米国に出向き、「沖縄の総意」を伝えたにもかかわらず、日本の外務大臣は、同じ日に米国で、沖縄の総意に反する約束をしたのである。
沖縄側から見ると、「どうぞ使ってください」と卑屈な態度で沖縄を米国に差し出し、ご機嫌をとっている、ように映る。
地元沖縄の切実な声を米国に伝え、県外移設に向けて努力する。それが日本政府のとるべき当然の態度であるはずなのに、当然のことさえ主張することができない。
沖縄の米軍基地は、憲法が適用されない米軍政下に、米軍が思うままに建設したものである。1950年代には、講和条約によって独立を回復した本土から、米海兵隊が沖縄に移駐した。
復帰の際には、那覇空港に配備されていた米軍の対潜哨戒機の本土配備計画が時の政権の反対でつぶれ、嘉手納基地に移駐された。そして今度は、「本土には受け入れるところがない」との理由で普天間飛行場の辺野古移設を強行する。
沖縄だけがいつまでも基地の過重な負担を背負い続ける構図は「構造的差別」そのものだ。
負担軽減とは、基地をめぐる「構造的差別」をきっぱり断ち切ることに他ならない。
それは十分、可能である。
それを実現することが日米関係を強固なものにするのであって、逆ではない。辺野古移設を強行すれば日米関係はずたずたになるだろう。
残念ながら民主党政権からは、普天間問題に対する「解決意欲」も「解決能力」も、伝わってこない。全国メディアを巧妙に利用し、「辺野古移設が実現しなければ普天間が固定化するぞ」と脅しをかける。嘆かわしい限りだ。
普天間を県外に移設しても、ハワイ、グアムを拠点にしたローテーション展開や、空軍、海軍の打撃力、即応力が維持されていれば、致命的な抑止力低下にはならない。
「海兵隊は沖縄でなければならない」という主張に対しては、誰が、どういう背景の下で、それを主張しているかを見極める必要がある。
居心地がいいからという理由。組織の既得権防衛や自己保存本能。問題の全国化を恐れる政権党の政治的判断。建設利権がらみの話。たいていの場合、それらがすべて絡み合っていると言っていい。
「沖縄という特定の地域を犠牲にした安全保障」をいつまでも続けることは、著しく公平・公正さに欠ける。
巨額の国費は、「構造的差別」を固定化するためではなく、安定した日米関係を築くために支出すべきである。国民と国会が声を上げれば、政権を動かすことは可能だ。

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朝日新聞 2011年9月23日(金)付
社説:日米首脳会談―外交立て直しの起点に
外交もまた出直しである。
野田首相が国連総会出席のため、ニューヨークを訪れ、まずオバマ米大統領と会談した。
両首脳は日米同盟の深化で一致した。首相は会談後、「個人的な信頼関係を築くいいスタートが切れた」と自賛した。
それにしてもである。
就任から3年に満たないオバマ大統領が会う日本の首相は、麻生、鳩山、菅各氏に続いて、野田氏で実に4人目である。
首脳外交の時代に、これだけトップがころころと交代していては、戦略的な外交の展開など望むべくもない。
首脳間の本当の信頼関係は、たった1度の短い会談でできるはずもない。相手の国内的な立場にも配慮しつつ、約束を誠実に履行する。そして、手を取り合って課題に立ち向かう。こうした地道な連携を重ねて初めて実現する。その努力は、すべてこれからだ。
いまの日米関係に突き刺さった最大のトゲは、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題だ。
大統領は初顔合わせにもかかわらず、具体的な結果を明確に求めてきた。首相も日米合意の実現に「沖縄の理解を得るよう全力を尽くす」と応じた。
現行計画が一向に進まず、米国側がいらだつ事情はわかる。しかし、首相のいう「沖縄の理解」がもはや得られそうにないことは、誰の目にも明らかだ。
つい最近も、沖縄県の仲井真弘多知事が米国で講演し、きっぱりと県外移設を求めた。日米合意が強行されれば「全県的な激しい基地反対運動につながり、日米安保体制に悪影響を及ぼしかねない」と警告もした。
知事が米国社会に向けて直接発したメッセージは重い。
日米安保体制の安定的な維持のため、両国政府はともに打開策を探るしかあるまい。同盟の知恵としなやかさが試される。
野田外交は、基軸である日米同盟の確認からスタートした。そこから、多極化する国際政治での日本の立ち位置を確認しつつ、誠実かつしたたかに展開をしていくことが求められる。
そのためには、強固な日米関係を土台に、東アジア、さらにはアジア太平洋地域の安定的な秩序をつくることだ。とりわけ、昨年の尖閣事件で一時、冷え込んだ中国との関係を本格的に改善する必要がある。
10月に首相の訪中が予定され、11月にはアジア太平洋経済協力会議や東アジアサミットといった多国間外交の舞台が控える。首相には、そうした一連の機会を通して、日本外交の全体像を紡ぎ出していってほしい。


(2011年9月23日01時11分  読売新聞)
日米首脳会談 同盟深化へ「結果」を出す時だ(9月23日付・読売社説)
国家の首脳間の信頼関係は、双方が努力を重ね、具体的成果を上げることで築かれる。野田首相はそれを実践すべきだ。
野田首相が訪米し、オバマ米大統領と会談した。
大統領は「日本は重要な同盟国で、幅広く協力していくパートナーだ」と語った。首相は、米軍の震災支援に触れ、「日米同盟は日本外交の基軸だという信念が揺るぎないものになった」と応じた。
両首脳が日米同盟を深化させることで一致したことは、まずは無難な初顔合わせと言えよう。
一方で、大統領が日本に多くの具体的要求をした事実を、首相は真剣に受け止める必要がある。
大統領は、米軍普天間飛行場の移設問題について「結果を見いだすべき時期に近づいている」と述べ、進展に強い期待を示した。首相は「沖縄の理解を得るべく全力を尽くしたい」と答えた。
米側には、鳩山元首相と菅前首相が日米同盟の重要性を唱えるばかりで、具体的な課題を先送りし、行動が伴わなかったことへの不信があるのだろう。
普天間飛行場の辺野古移設が実現しなければ、危険な現状が固定化するし、在沖縄海兵隊のグアム移転にも悪影響が出る。政府は、移設の前進へ沖縄県との協議を加速させなければならない。
大統領は、日本が米国産牛肉の輸入を制限している問題の進展を迫った。国際結婚破綻後の子どもの親権をめぐるハーグ条約に関しても、日本が条約加盟に向けて国内法整備を急ぐよう求めた。
野田首相は、牛肉問題で「双方が受け入れ可能な解決」を目指す考えを示すとともに、ハーグ条約の加盟準備状況を説明し、理解を求めた。同盟を深化させるには、こうした長年の懸案を前に動かす努力も欠かせない。
首相は、環太平洋経済連携協定(TPP)参加問題について「しっかり議論を積み重ね、できるだけ早い時期に結論を出したい」と述べるにとどまった。
米国など9か国は、11月中旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)でのTPP大枠合意を目指している。首相は、11月が日本参加決断の期限と考え、国内調整を主導しなければなるまい。
北朝鮮問題について、日米両首脳は日米韓の緊密な連携を維持することで合意した。日韓首脳会談でも同様の方針を確認した。
北朝鮮から非核化への具体的な行動を引き出すには、日米韓が中国とも協調し、北朝鮮への働きかけを強めることが大切だ。


毎日新聞 2011年9月23日 2時31分
社説:日米首脳会談 鳩菅外交の轍を踏むな
「結果を求める時期が近い」。ニューヨークで野田佳彦首相との初の会談に臨んだオバマ米大統領は、こう言って米軍普天間飛行場移設問題で目に見える進展を促した。日本の首相がくるくる代わり、日米関係が停滞していることに対する米側の強いいらだちがうかがえる。
東日本大震災後、トモダチ作戦をはじめとする米国の圧倒的な人的物的支援で、私たちは日米同盟のありがたさと日米関係の強固な絆を再確認した。だが、日本が震災を理由に外交を動かさないですむ時期はとうに過ぎている。日米首脳会談でオバマ大統領が示したビジネスライクな要求は、「震災外交」というモラトリアム(猶予期間)が終わりを告げたことを意味するものだ。
普天間飛行場問題に限らない。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加も、決断や行動が遅れるほど、日米関係にマイナスになるだけでなく、国際的にも不利な立場に追い込まれる。復興だけでなく、外交も急がなければならない。
今の日米関係は順風満帆からはほど遠く、不正常とさえ言えよう。本来なら、日米安保条約改定から半世紀の昨年、同盟深化をうたう共同宣言をまとめる段取りだったのが、日本の政局混迷で宙に浮いた。今月はサンフランシスコ講和条約と旧日米安保条約調印から60年という歴史の節目なのに、同盟をじっくり論議する機運は生まれなかった。
民主党政権になって、首相がワシントンを公式訪問してホワイトハウスで米大統領と会談した例はない。国連総会など国際会議の場を利用してしか日米首脳が会談できない現実が、そもそも異常である。
野田首相は、オバマ大統領が就任後2年半余で会った4人目の日本の首相だ。「個人的な信頼関係を築くいいスタートが切れた」と会談後に語った野田首相だが、過去3人の首相は途中で政権交代があったり、政権運営の不手際が目立ったりで、いずれもゴールまでたどりつかないまま早期退陣を余儀なくされた。
これでは米側が日本のリーダーの言動に信頼を置けないのは当然だろう。その意味で、野田首相がオバマ大統領に「安定した政治の実現」が野田政権の使命だと強調したのは妥当な認識である。それなくしては、日米同盟の深化も、国際社会における日本の発言力強化も不可能である。
理念先行で行動が伴わなかった鳩山由紀夫元首相、外交当局と連携せず外交ビジョンも希薄だった菅直人前首相。野田首相は民主党政権2代の轍(てつ)を踏んではならない。民主党だけでなく、日本にとってもラストチャンスの覚悟で、外交の立て直しに本腰を入れるべきである。


日経新聞 2011/9/23付
社説:普天間問題の先送りはもう限界だ
人間関係がそうであるように、外交関係でも、口約束ばかりで実行が伴わない国は信頼を失う。日米の懸案である米軍普天間基地の移設問題も、まさにそんな状況だ。
オバマ米大統領は野田佳彦首相との会談で、普天間問題で「結果」を出すよう迫った。同盟国である日本の首相との初顔合わせで、米大統領が懸案を巡り、ここまで単刀直入に善処を迫るのは異例といえる。原因をつくったのは米国に空手形を連発してきた民主党政権にあると言わざるを得ない。
オバマ氏は米国産牛肉の輸入制限の撤廃や、国際結婚が破綻した場合の子供の扱いを定めたハーグ条約の早期加盟も求めた。
普天間問題は日米の最大の懸案だ。政権交代以来、鳩山、菅両内閣は進展に向けた努力を何度も約束した。しかし、行動が伴わず、移設の道筋は全く見えないままだ。
米議会はこのため、普天間移設とセットである沖縄の米海兵隊約8千人のグアム移転予算を削り始めている。オバマ氏の要求の背景には、米議会の強い圧力がある。
もはや普天間問題の先送りは限界に近い。野田内閣はこうした認識に立ち、進展に向けた目に見える行動に出てほしい。
このままでは沖縄県名護市辺野古に移設する日米合意は破綻する。基地の行き場がなくなれば、普天間は学校や家が密集する今の場所にとどまることになる。それは何より、地元の人々にとって最悪の結末だ。
そうなれば、沖縄全体にも深刻な影響が及ぶ。普天間移設を前提にしている沖縄の他の負担軽減策も先送りされてしまうからだ。その最たるものが米海兵隊のグアム移転だ。
残された時間は長くない。米議会は「早急に進展がなければ、グアム移転の予算の大半を削減しかねない」(米政府筋)との見方もある。
では何をすべきか。まず大切なのは、こうした見通しを率直かつ、ていねいに沖縄側に説明することだ。今回の日米首脳会談や19日の外相会談の内容も詳しく伝えてほしい。
移設が頓挫すれば、日米両政府、沖縄のみなが「敗者」になる。3者がこの共通認識に立たなければ、ぎりぎりの打開策は生まれない。
第2に、辺野古移設を進めた民主、自民、公明各党も解決に協力すべきだ。沖縄では県議会も辺野古移設に反対している。仲井真弘多知事から協力を得るためにもこれら3党は自党の県議と議論し、移設への理解を働きかけるべきだ。政府任せにして傍観している場合ではない。


産経新聞 2011.9.23 03:05
【主張】日米首脳会談 首相は総力挙げ結果出せ
野田佳彦首相がオバマ米大統領と初めて対面した日米首脳会談は、米軍普天間飛行場移設を筆頭に、大統領が「早く宿題を片付けよ」と言わんばかりに日米の懸案解決を次々と突きつける異例の展開となった。
同盟の空洞化に加え、内政・外交でかつてない停滞にさまよう日本に対し、同盟国の米国が強い焦燥といらだちを覚えていることの証左といえる。とりわけ環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や普天間問題は、米国に指摘される以前に日本の安全と繁栄に直結する課題なのに放置してきた。
首相は「日米が基軸」といった常套(じょうとう)句を繰り返すだけでなく、速やかに結果を出すべきだ。
オバマ氏は普天間問題に「結果を求める時期だ」と指摘したのに続き、米国産牛肉の輸入制限緩和や国際結婚に伴う子の親権に関するハーグ条約加盟問題でも「進展を求めたい」「結果が必要だ」などと目に見える成果を促した。
会談時間が35分間だったにせよ、冒頭で「東日本大震災の復興支援を惜しまない」と語りかけた雰囲気から一変した大統領の実務的な口ぶりに、同席の米高官らも驚いたという。
これに対し、野田首相は日米合意に基づく普天間移設を推進し、TPP問題でも「早期に結論を出す」と答えたが、いずれも時期を明示しなかった。説得力があるとはいえない。米国は11月にハワイで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPPの大枠を固めるとされ、2カ月を切っていることを自覚すべきだ。
オバマ氏は「日米関係は大切で同盟を21世紀にふさわしいものに近代化したい」とも述べた。背景には、中国海軍の海洋進出などがあり、普天間移設を軸とする在日米軍再編こそが同盟近代化のカギを握る。首相は本紙が提案した安保条約再改定案も含めて、日米がともに守る同盟近代化の道を真剣に検討してもらいたい。
首相は、李明博韓国大統領と初の日韓首脳会談にも臨んだ。北朝鮮の核・ミサイル問題などで日米韓の緊密な連携を維持することで一致したことは評価したい。
しかし、「従軍慰安婦」の碑建設や竹島問題などに両首脳ともに触れなかったのは残念だ。緊密な協調が必要な国だからこそ、首脳同士の場で言うべきことを率直に語る姿勢がほしかった。


2011年9月23日(金)「しんぶん赤旗」
主張:日米首脳会談 直結外交で国民犠牲続けるか
政権発足後初めて訪米した野田佳彦首相が、オバマ米大統領と会談しました。首相が日米同盟を「深化・発展させる」とのべ、焦点の沖縄の米海兵隊普天間基地の「移設」問題でも「日米合意に従い進めていきたい」と約束したのは重大です。
オバマ大統領はアメリカいいなりの首相の足元をみて、「結果が必要だ。これからの進展に期待している」とくぎを刺しています。「アメリカ直結」では、普天間基地の閉鎖・撤去を要求する県民の総意をふみにじり、県民に重圧を押し付けることにしかならないのは明らかです。
異常な対米従属姿勢
野田首相とオバマ大統領の会談では環太平洋連携協定(TPP)への参加や、アメリカが要求する牛肉の輸入拡大なども取り上げられ、野田首相はTPP参加で早期に結論を得ることなどを約束しました。野田首相には、異常な対米追随を改める姿勢はまったくありません。
それどころか、民主党政権の下での対米公約の実行の遅れにいらだつオバマ政権の不満にすすんで応え、米政権の歓心を買おうという態度が露骨です。国連総会出席のために訪米した首相が、訪米の初日にオバマ大統領との会談に臨んだのは象徴的です。
野田首相は就任いらい普天間「移設」を「日米合意を踏まえて進める」とくりかえしています。所信表明演説で「移設」に反対なら普天間基地を「固定化」することになると沖縄県民を脅し、欠陥が明らかでやり直しが求められている環境影響評価の再開をこれみよがしに通告しています。「移設」を実現するための新たな沖縄関係閣僚会合も立ち上げました。
オバマ大統領がそうした野田首相に「結果が必要だ」といったのは、あからさまな威圧です。まともな国家間の外交では通用しないものです。野田首相が首脳会談後の記者会見で「信頼関係を築くいいスタートが切れた」とのべたのは独立国の首相としての自覚に欠けた態度というほかありません。
アメリカいいなりのTPP参加が日本の農業をさらに破壊することも明白であり許されません。
沖縄県民は1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意が、当然返すべき普天間基地の返還に基地「移設」の条件をつけて以来、15年間にわたって新基地建設のための杭(くい)1本打たせていません。普天間基地の県内「移設」に反対し、基地の即時・無条件の閉鎖と撤去を求める声は県民の総意になっています。普天間基地の県内「移設」に反対し撤去を求める声は全国に広がっています。
野田首相にはこうした県民・国民の声をアメリカに伝えるほどの気概もなかったのか。アメリカの“御用聞き”のようにふるまうだけの態度は嘆かわしい限りです。
普天間基地は国外に
野田首相の訪米と前後してアメリカを訪問した仲井真弘多沖縄県知事は、県内に「移設」を受け入れるところはないと述べ、基地をつくったときのように「銃剣とブルドーザー」で押し付けるつもりかと発言しました。野田首相は、沖縄県内だけでなく、日本国内に新たな基地を受け入れるところはないと明言すべきでした。
政府に「日米合意」を白紙撤回させることがいよいよ重要です。

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