2012年2月7日火曜日

沖縄防衛局長講話―組織ぐるみの「背信」 選挙介入常態化

毎日)普天間問題 「正心誠意」が見えない(2/4)
東京)防衛局長講話 選挙介入の悪弊を断て(2/4)

朝日)沖縄局長講話―組織ぐるみの「背信」だ(2/2)
毎日)沖縄防衛局長 選挙介入が常態なのか(2/2)
日経)これで沖縄の信頼得られるか(2/2)
産経)沖縄局長「講話」 防衛相以下タガ締め直せ(2/3)
東京)防衛局長講話 選挙への「介入」許せぬ(2/2)

読売)沖縄局長「講話」 「普天間」前進へ態勢立て直せ(2/5)



毎日新聞 2012年2月4日 東京朝刊
社説:普天間問題 「正心誠意」が見えない
沖縄県宜野湾市長選をめぐり、防衛省沖縄防衛局が「有権者リスト」を作成し、真部朗(まなべろう)局長が職員に「講話」を行っていた問題で、衆院予算委員会が真部氏を参考人として招致し、野田佳彦首相、田中直紀防衛相も出席して集中審議を行った。
「(立候補予定者の)誰かに肩入れするという認識はなかった」
「なるべく多くの考えが反映される方法はないのかと、職員がきちんと選挙に臨み、投票に行くようにしたいと考えた」
「誤解を招く部分があったことは反省しなければならない」
投票率アップが講話の目的であったかのような真部氏の説明には、まったく説得力がない。
防衛省が作成した「講話要旨」によれば、立候補予定者2人の政策の違い、米軍普天間飛行場を名護市辺野古に「県内移設」する政府方針を説明し、普天間を抱える宜野湾市の民意の重要性を強調して職員やその親族の投票を呼び掛けている。
特定の候補予定者支持を明言していなくても、政府方針に近い候補予定者に「肩入れする」のが真意ではなかったか、との見方を「誤解」と片づけるのは無理である。更迭が当然であり、処分の判断をいたずらに先送りすべきでない。
予算委では、過去の各種選挙、住民投票に対する沖縄防衛局の関与も指摘され、田中防衛相は「構造的な問題があれば調査する」と明言した。ぜひ、実施してもらいたい。
それにしても、普天間問題への野田政権の対応は拙劣に過ぎる。首相は昨年9月、就任直後の所信表明演説で、勝海舟の「氷川清話」にある「正心誠意」の姿勢で政治の難局に立ち向かう考えを示した。しかし、その後の事態を見ると、普天間問題に関する限り、「正心誠意」とはほど遠いと言わざるを得ない。
前沖縄防衛局長の不適切発言と前防衛相のお粗末な国会答弁に続き、環境影響評価(アセスメント)評価書の沖縄県庁への未明の搬入……。そして、政権立て直しを目的にしたはずの内閣改造で就任した田中防衛相は、迷走答弁や理解に苦しむ言動を繰り返している。困難な普天間問題に取り組むのは無理ではないかとの指摘もある。加えて今回の講話である。
タガが緩んだような普天間対応の態勢を再構築するには、首相が指導力を発揮するしかない。
そして、膠着(こうちゃく)している普天間問題の前進を図る前提になるのが、沖縄の信頼回復である。そのために、首相自身が早期に沖縄を訪問すると同時に、沖縄が反対する「辺野古への移設」見直しを視野に入れて移設問題を再検討することが必要だ。野田首相に決断を求める。


東京新聞 2012年2月4日
【社説】防衛局長講話 選挙介入の悪弊を断て
真部朗(まなべろう)沖縄防衛局長が宜野湾市長選での投票を職員に促す講話を行った背景には、選挙介入も躊躇(ちゅうちょ)しない防衛省の体質がある。組織の悪弊を断ち切らねば、同じことを繰り返さないとも限らない。
講話の発覚後、真部氏は田中直紀防衛相らの事情聴取に応じ、衆院予算委員会の集中審議にも参考人として出席した。
この中で明らかになったのは、防衛省ぐるみの選挙介入と受け取られかねない行為が、今回の宜野湾市長選に限らず、沖縄県内の自治体選挙でたびたび行われていたことだ。
仕事とはいえ、政府が進める基地政策に地元の理解を得る労苦は分からないでもないが、国家公務員の地位を利用して特定候補への支持を促していたとすれば、公職選挙法などに抵触する可能性もある。見過ごせない行為だ。
十二日投開票の宜野湾市長選の告示は五日に迫る。立候補を予定する伊波洋一(いはよういち)元市長と佐喜真淳(さきまあつし)県議はともに米軍普天間飛行場の県内移設に反対しているが、具体論では意見を異にする。
講話問題が普天間問題を争点の一つとする市長選に影響を与えてはならない。更迭は当然だろう。
藤村修官房長官は当初、真部氏の講話について「いいことだという評価が出るかもしれない」と語っていた。内閣の要として認識が甘すぎるのではないか。
ただ、真部氏に対して「トカゲの尻尾切り」をしても、問題は解決しない。組織の問題だからだ。
日米両政府が普天間飛行場返還に合意した一九九六年以降、沖縄県内で普天間問題が大きな争点になったのは、九七年十二月の名護市での住民投票が最初だ。
沖縄1区(那覇市など)選出の下地幹郎衆院議員は予算委で、普天間代替施設受け入れの是非を問うこの住民投票以降、十回の自治体選挙で、那覇防衛施設局(現沖縄防衛局)ぐるみの選挙介入が行われたと指摘した。
事実なら許されざる行為だ。
政府はまず、沖縄での選挙介入の実態解明に全力を挙げ、再発を厳に防ぐ措置を講じなければならない。
自衛隊や米軍基地がある沖縄以外の自治体でも、同様のことが行われていなかったかも過去にさかのぼって調べる必要がある。
防衛省は省内に業務適正化委員会を設置した。身内の調査で真相解明が進むのか甚だ疑問だ。省外のメンバーを起用した第三者機関による調査を求めたい。


朝日新聞 2012年2月2日(木)付
社説:沖縄局長講話―組織ぐるみの「背信」だ
防衛省は本来、官庁のなかでも最も厳しく政治的中立性を保つべき省庁だ。実力組織である自衛隊を率いる以上、組織ぐるみで政治にかかわるようなことは危険きわまりない。
こんな緊張感が完全に欠落している事態が発覚した。
米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選に向け、沖縄防衛局が同市に本人や親族が住む職員のリストを作り、真部朗(まなべ・ろう)局長が、棄権しないよう呼びかける「講話」をしていた。
防衛省は、特定の立候補予定者を推すような発言はなかったと説明する。しかし、有権者名簿を作り、局長が働きかけていたのだから、膠着(こうちゃく)状態の普天間移設問題を念頭に、特定候補への投票を暗に促す意図があったと見られて当然だ。
「政治的行為」を厳しく制限した国家公務員法や、公務員の地位を利用した選挙運動を禁じた公職選挙法などに、ただちには違反しないとしても、法の網の目をくぐった政治活動そのものといえる。
一連の指示は、総務部人事係から各部の庶務担当者あてに電子メールで出された。講話は勤務時間中に庁舎内で行われた。まさに組織をあげての活動であり、真部局長の責任は極めて重い。更迭は免れない。
沖縄では、これまでも選挙のたびに、政府の介入が取りざたされてきた。
1997年の名護市の市民投票の際には、久間章生防衛庁長官が沖縄出身の自衛官ら約3千人に文書で協力を求めた。真部局長は一昨年の名護市の選挙でも「同様のことをした」と話している。
こうした動きは、沖縄県内だけのことなのか。全国の自衛隊駐屯地でも似たようなことがありはしないか。
田中直紀防衛相は本省の関与を否定した。だが、今回の背信行為を出先機関の問題に矮小化(わいしょうか)してはいけない。
この際、第三者による調査機関を設けて、過去の選挙にさかのぼって、徹底的な検証をすべきだ。それが十分にできなければ、田中氏の責任も問われることになろう。
昨年末以降、沖縄では政府の信頼が失墜し続けている。
前沖縄防衛局長の女性蔑視の暴言、環境影響評価書の県への提出をめぐるドタバタ、新旧防衛相の沖縄への配慮を欠く不適切な発言……。そこに加えて、この局長講話である。
普天間の辺野古移設は、もう実現する見通しはない。政府は今度こそ立ち止まり、他の打開策を探るべきだ。


毎日新聞 2012年2月2日 東京朝刊
社説:沖縄防衛局長 選挙介入が常態なのか
防衛省沖縄防衛局が沖縄県宜野湾市長選(12日投開票)の「有権者リスト」を作成し、真部朗(まなべろう)局長が職員に「講話」を行っていた。政府機関による選挙への介入とも言うべきもので、言語道断である。
共産党が国会で取り上げて明らかになった。防衛省の調査によると、真部局長の指示で同市在住の職員や同市に親族がいる職員80人のリストを作り、職員への講話で市長選への投票を呼び掛けていた。
講話では、市長選立候補予定者を紹介し、米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市民の民意が重要であることなどを指摘したという。「特定の立候補予定者を支持する内容は確認されなかった」との調査結果だが、講話内容の記録はない。
公選法は、国家公務員による地位を利用した選挙運動を禁じ、自衛隊法は、文官を含む自衛隊員の政治的行為を厳しく制限している。
宜野湾市長選の行方は、普天間移設問題にも大きな影響を与える。その選挙直前に候補予定者などについて講話を行えば、特定候補予定者への支持に直接、言及がなかったとしても、基地問題の政府方針に都合がよい候補予定者の後押しに含意がある、と受け取るのが普通だろう。
普天間をめぐっては、前沖縄防衛局長の不適切発言、前防衛相の国会答弁などが沖縄の怒りを買った。真部局長の言動が沖縄の不信を増幅させ、問題解決を一層難しくすることは明らかだ。更迭が当然である。
見逃せないのは、真部局長がかつて、政府が普天間の移設先とする同県名護市の選挙でも講話を行っていたことである。名護市では10年1月に市長選、同9月に市議選があり、普天間移設受け入れが争点になっていた。当時の沖縄防衛局長は真部氏だった。政府はこの講話の時期や実態についても調査すべきだ。
同市では97年12月、普天間移設に絡んで海上ヘリポート建設計画の是非を問う市民投票が実施されたが、那覇防衛施設局の職員が戸別訪問やパンフレット配布などで事実上の集票活動を展開、地元で批判を浴びたことがある。選挙などへの介入が繰り返し行われていたとすれば、構造的問題である。
これらの問題を監督する田中直紀防衛相は、普天間周辺での米軍ヘリ飛行について「そんなに多くないのでは」と発言、国会答弁でも訂正、陳謝を繰り返すなど、拙劣な発言と対応が目立つ。野党からは資質を問う声も出ている。
普天間飛行場の固定化(継続使用)を回避し、周辺住民の危険性を除去するために、政府は今後、正念場を迎える。ここは、野田佳彦首相が前面に立って、普天間問題の解決に全力を尽くすしかない。


日経新聞 2012/2/2付
社説:これで沖縄の信頼得られるか
なぜ、沖縄の信頼関係を傷つける不祥事がこうも相次ぐのか。このままでは米軍普天間基地問題の解決も、遠のくばかりだ。
普天間基地がある沖縄県宜野湾市の市長選で、真部朗沖縄防衛局長が同市在住の職員を集め、投票を促していたことが発覚した。
普天間基地の移設先である同県名護市の2010年の選挙でも、職員に投票を呼びかけたという。
宜野湾市の市長選は普天間の県内移設に反対する伊波洋一元市長と、県議の佐喜真淳氏の一騎打ちの様相だ。佐喜真氏も県外への移設を求めているが、かつては条件付きで県内移設を容認していたことがある。
防衛省の調査によると、真部氏が佐喜真氏ら特定の候補を支持する発言をした事実は確認できていないという。そうだとしても、わざわざ職員を集め、市長選への投票を働きかけること自体「公務員の政治的中立」の観点から問題があると言わざるを得ない。
公職選挙法は国家公務員が「その地位を利用して選挙運動をすることができない」と規定している。真部氏の行為は同法などに抵触すると疑われても仕方がないだろう。沖縄の不信感を強めるだけの、極めて軽率な行為である。
沖縄防衛局では昨年11月、田中聡前局長が不適切な発言で更迭されたばかりだ。沖縄との関係を修復するため、田中氏の前任者だった真部氏が復帰したはずだった。
そもそも民主党政権には沖縄と真剣に向き合い、普天間問題を解決しようという決意や戦略が見られない。それは野田佳彦首相による防衛相の人選にも表れている。
一川保夫前防衛相は国会答弁での失態などから野党に資質を問われ、昨年12月に参院で問責決議を受けた。1月に後を継いだ田中直紀氏も早速、国会答弁などで立ち往生する場面を連発している。
こうしたお粗末な状況が、現場の気のゆるみや混乱にもつながっているのではないか。野田首相はこれを機に、沖縄政策の体制をしっかり立て直してほしい。


産経新聞 2012.2.3 03:12
【主張】沖縄局長「講話」 防衛相以下タガ締め直せ
防衛行政の信頼性が大きく傷ついている。
米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市の市長選に向けて、真部朗沖縄防衛局長が同市在住の職員を集めて「講話」を行い、投票を呼びかけていた問題に加え、田中直紀防衛相が衆院予算委員会の答弁で立ち往生を繰り返していることだ。
これらにより、普天間移設の実現がさらに難しくなっている。
こうした事態を招いているのは、野田佳彦首相が、安全保障を基本的に理解していない「素人」を相次いで防衛相に起用したことが大きい。
一国の指導者が、真剣に国の防衛や普天間問題に取り組む姿勢を見せないことにより、組織のたがが緩み切っていると言わざるを得ない。
真部氏は沖縄防衛局に80人の有権者リストを作成させて講話を行い、立候補予定者の名前や主張も説明して投票を呼びかけた。
防衛省は「特定の人物を支持する内容は確認されなかった」としているが、地位を利用して職員を集め、投票を呼びかけたことは否定できないだろう。
国家公務員は政治的中立性から公職選挙法などで選挙運動や政治的活動を厳格に制限されている。行き過ぎた行為が厳しく処分されるのは当然だ。
真部氏は普天間移設先の辺野古がある名護市の選挙でも同様の呼びかけを行っていたという。さらなる調査が必要である。
田中防衛相は、米軍戦略や自衛隊と憲法の関係などについて、基本的な質問を受けても、まともに答弁できなかった。「知らない」などと答える場面が予算委審議の冒頭から相次いでいる。
本来なら、普天間の移設に指導力を発揮しなければならない立場であるのに、防衛政策の突っ込んだ議論が望めない状況にしているのは、極めて問題だ。
一方、宜野湾市職員労働組合は市長選をめぐり、組織内候補として推薦を決定した特定の立候補予定者の選挙運動に協力するよう、組合員に対して文書で呼びかけているという。
選挙運動や政治的行為の制限は公務員全般にあてはまる。勤務時間中に教職員団体の教員が選挙、政治活動に明け暮れている実態も表面化している。政治的中立を逸脱する活動は厳しく是正されなければならない。


東京新聞 2012年2月2日
【社説】防衛局長講話 選挙への「介入」許せぬ
米軍普天間飛行場のある沖縄県宜野湾市に住む沖縄防衛局職員に対し、真部朗局長が「講話」を行っていた。市長選で特定候補を支持する内容ではないというが、選挙への露骨な介入は許されない。
講話には、宜野湾市に自身や親族が住む職員八十人のうち六十六人が参加。真部氏は市長選への立候補予定者二人を紹介し、公務員として中立性・公正性に疑いを持たれないよう話したという。
市長選は自民、公明両党が推薦する佐喜真淳県議と共産、社民、沖縄社会大衆三党が支持する伊波洋一元市長との一騎打ちの見通しだ。
どちらも普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設に反対しているが、国外への移設を主張する伊波氏の方がより強硬といえる。
防衛省の調査では、特定候補者を支持する内容は確認されなかったが、局長自らが講話を行うことで、基地問題ではより穏健な自公推薦候補への投票を促したとの疑念を持たれても仕方があるまい。
公職選挙法は国家公務員の地位を利用した選挙運動を、自衛隊法は意図を持って特定の政策を主張することを禁じている。本当に特定候補への支持表明がなかったのか、引き続き調査が必要だ。
真部氏は「沖縄『犯す』発言」で更迭された田中聡前局長の後任だ。以前も局長を務めた経験を買われての再登板だが、公選法違反まがいの行為に沖縄県民は「またか」という思いではないか。
真部氏は講話を「名護の選挙でもやったことがある」と述べたという。二〇一〇年の名護市長選や市議選でのことなのだろう。
一九九七年、普天間飛行場返還のための海上基地受け入れの是非を問う名護市住民投票の際、当時の那覇防衛施設局の職員約二百人が、市内全戸を対象に、基地計画と地域振興策を説明する戸別訪問を行ったことがある。
政府の政策を押し通すためには選挙への介入も辞さないのは防衛省の体質ではないのか。地に落ちた防衛省への沖縄県民の信頼を少しでも回復するにはこの体質を改めることがまず必要だ。
さらに問題の根底には、大方の県民の意向に反し、県内移設を強行する民主党政権の姿勢があることを見過ごしてはならない。
国外・県外移設への思い切った方針転換が、在日米軍基地の約74%が集中する沖縄県民の基地負担を軽減する。官僚だけに責任を押し付けるのではなく、政治家が決断しなければ問題は解決しない。

(2012年2月5日01時34分  読売新聞)
沖縄局長「講話」 「普天間」前進へ態勢立て直せ(2月5日付・読売社説)
違法ではないが、誤解を招きかねない行為だったのは否定できない。
防衛省が、12日投票の沖縄県宜野湾市長選への投票を職員に呼びかけた真部朗沖縄防衛局長について、処分を検討している。
真部局長は1月下旬、宜野湾市内に本人か親族が住む職員66人に講話を行った。米軍普天間飛行場の移設問題に関する政府の立場や立候補予定者の考え方を説明する一方、「公務員は政治的中立性が要求される」と注意を促した。
真部局長は参考人として招致された衆院予算委員会でも、特定の候補を推薦してはいけないなどとする防衛省の服務規律の通達を踏まえた講話だったと強調した。
宜野湾市長選は保革一騎打ちが予想され、その結果は普天間問題にも影響すると見られていた。
真部局長とすれば、公務員の地位を利用した選挙運動を禁じる公職選挙法に抵触しない範囲で、普天間問題の前進の一助となれば、と考えて講話をしたのだろう。
防衛省は、特定候補を支持する発言はなく、違法行為はなかったとしている。その判断は、基本的に妥当と言えよう。
真部局長は一昨年の名護市議選などでも同様の講話を行った。
今回は、一川、田中の2代の防衛相の失言・迷言に加え、前任局長の不適切発言や環境影響評価書提出時の混乱で、沖縄防衛局への地元の視線が険しくなっていたことが、問題を大きくした。
田中防衛相は当初、3日に真部局長を処分・更迭する考えだったが、予算委などで局長の擁護論が出たため、決定を先送りした。
田中氏が「局長に説明責任を果たさせる」と語ったのは、判断先送りで混乱を招いた自らの責任を回避するもので、不見識だ。
前局長に続き、官僚に責任を押しつける安易な対応を重ねれば、政策課題に真剣に取り組んでいる官僚の士気をくじき、防衛行政自体を弱体化させかねない。
野田政権を追及する自民、公明両党の対応にも、疑問がある。
そもそも普天間飛行場の辺野古移設を決めたのは自公政権だ。
野党として、政府の問題点を批判するのは当然だが、結果として辺野古移設の実現を困難にすれば日米関係を不安定化させ、国益を損ねる。党利党略でなく、より大局的な対応が求められる。
普天間問題は今、正念場にある。辺野古移設が頓挫すれば、普天間飛行場は固定化が避けられない。野田政権は態勢を立て直し、移設実現に全力を挙げるべきだ。

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