2012年7月22日日曜日

オスプレイ 配備許すな!(その1)


米国にモノ言わぬ首相 対米従属

23日にも米軍岩国基地に入港するオスプレイ積載船。
「国民軽視の強行配備だ」「国民置き去りを許すな」
「強まる憤り受け止めよ」「どうして米国に物申さぬ」
「政府は待ったをかけろ」
日本中から怒りの声が上がっている。

「首相まで米国追従とは」
アメリカに物言わぬ政府・首相への失望・怒りは広がっている。

7月以降の各紙社説・論説を2回に分けて紹介する。


毎日新聞 2012年07月21日 02時30分
社説:オスプレイ 米国にモノ言わぬ首相
東京新聞 2012年7月20日
【社説】オスプレイ配備 沖縄だけの問題でない

岩手日報 (2012.7.22)
論説:オスプレイ配備計画 国民の安全はどうする
岐阜新聞 2012年 7月22日(日)
社説:オスプレイ 安全性を説明できるのか
琉球新報 2012年7月22日            
社説 :経済会議不参加 命と財産守る責任、再考を

茨城新聞 2012年7月21日(土)
論説:オスプレイ搬入へ 国民置き去りを許すな
信濃毎日新聞 2012年07月21日(土)
社説:オスプレイ 国民軽視の強行配備だ
中国新聞 '12/7/21
社説:オスプレイ岩国へ 強まる憤り受け止めよ
山陰中央新報 2012年7月21日
論説 :  オスプレイ配備/安全性の確認が最優先だ
高知新聞 2012年07月21日08時22分
社説【オスプレイ】どうして米国に物申さぬ
宮崎日日新聞 2012年07月21日
社説:オスプレイ搬入
琉球新報 2012年7月21日            
社説:全国知事会決議 もはや配備は不可能だ




<以下は、オスプレイ 配備許すな!(その2)に掲載>

北海道新聞 2012年7月18日
社説:オスプレイ 米国に「ノー」と伝えよ(7月18日)
沖縄タイムス 2012年7月18日 09時32分
社説:[オスプレイ容認]首相まで米国追従とは
琉球新報 2012年7月18日              
社説:首相追認発言 無責任配備は言語道断だ
しんぶん赤旗 2012年7月18日(水)
主張:欠陥オスプレイ 安保優先の配備強行するな


琉球新報 2012年7月16日              
社説:オスプレイ 延期でなく配備中止を
神奈川新聞 2012年7月15日
社説:オスプレイ配備  地元との関係を壊すな
河北新報 2012年07月13日金曜日
社説:オスプレイ配備/国民はノーと言えないのか


沖縄タイムス 2012年7月11日 09時26分
社説:[オスプレイ配備]全国に広がる不安の声
琉球新報 2012年7月11日              
社説:墜落事故隠し オスプレイは飛ぶ資格なし
読売新聞 (2012年7月11日01時40分 )
社説;オスプレイ配備 政府は安全性の説明を尽くせ


秋田魁新報:(2012/07/10 付)
社説:オスプレイ配備 反米感情高めるだけだ
徳島新聞 2012年7月7日付  
社説:オスプレイ  配備計画を見直すべきだ  
沖縄タイムス 2012年7月5日 09時24分
社説:[オスプレイ出港]配備は日米関係損なう
琉球新報 2012年7月5日              
社説:県民大会開催へ 日米安保崩壊への警告だ
神戸新聞 (2012/07/04 09:01)
社説:オスプレイ出港/配備の強行は許されない 
朝日新聞 2012年7月3日(火)付
社説:オスプレイ―政府は待ったをかけろ
日経新聞 2012/7/3付
社説:オスプレイで丁寧な説明を
西日本新聞 2012/07/03付
社説:オスプレイ配備 政府は米側に再考を迫れ
琉球新報 2012年7月2日              
社説:知事防衛相面談 配備拒否以外 道はない

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毎日新聞 2012年07月21日 02時30分
社説:オスプレイ 米国にモノ言わぬ首相
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が23日に米軍岩国基地(山口県岩国市)に搬入される。政府が山口県と岩国市に通知した。米軍は10月に沖縄の米軍普天間飛行場に本格配備する計画で、野田政権はこれを容認する姿勢だ。
オスプレイは開発段階から事故が相次ぎ、4月にモロッコ、6月には米フロリダ州で墜落事故が起きた。沖縄や山口、訓練空域下の各県で安全性への懸念が広がっている。
仲井真弘多沖縄県知事は「断然拒否」と述べ、県内で事故が起きれば「全基地即時閉鎖という動きになる」と語った。普天間を抱える宜野湾市長ら沖縄の首長が相次いで配備中止を政府に申し入れ、全国知事会も安全が確認されないままの国内配備に反対する緊急決議を採択した。
普天間飛行場は住宅密集地にある「世界一危険な基地」(ラムズフェルド元米国防長官)だ。フェンスを隔てて小学校が隣接し、04年には近くの沖縄国際大学に同飛行場所属の輸送ヘリが墜落、炎上した。オスプレイの事故におびえながら暮らさなければならない周辺住民の不安、苦しみは察するに余りある。
野田佳彦首相は「配備は米政府の方針であり、(日本から)どうしろこうしろと言う話ではない」と語った。日米安保条約上は事前協議の対象ではないと言いたいのだろう。しかし、危険性への懸念を事前協議のテーマかどうかで処理する感覚を疑う。危険性を理由に移設することになっている、その普天間にオスプレイを配備しようというのも、これを容認する首相発言も、沖縄の実情を無視した対応で、無神経過ぎる。
前原誠司民主党政調会長は「首相も官房長官も沖縄、山口の民意を軽く考えているのではないか」と批判し、配備延期を求めた。「万一のことがあれば日米同盟関係を大きく傷つける」という主張だ。与党内に同様の声が広がっている。
日米両政府は、モロッコ、フロリダ両事故に対する米側調査と、日本独自の検証が終了するまで岩国での試験飛行を行わないと決めた。
しかし、両政府はあくまで「普天間への10月配備」は変えないという。これでは調査・検証結果に関係なく「10月配備ありき」である。何のための調査・検証なのか。機体に問題なしとの結論を前提に調査・検証を行うのでは、と思われても仕方ない。
米国内では住民の反対で空軍がオスプレイ訓練の延期・見直しを決めたとの指摘もある。普天間への配備を強行すれば、政府と沖縄の関係は一層ぎくしゃくし、基地の運営、普天間問題の行方にも影響しかねない。野田首相が配備延期を政治決断し、米側と協議するしかない。


東京新聞 2012年7月20日
【社説】オスプレイ配備 沖縄だけの問題でない
日本へ輸送中の米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ十二機が近く到着する。開発段階から墜落事故が多発し、安全性への懸念が残る。日本政府は米側の配備強行をなぜ止めないのか。
オスプレイは、老朽化したCH46輸送ヘリに代わり沖縄県宜野湾市の米海兵隊普天間飛行場に配備される。二十三日にも山口県岩国市の米海兵隊岩国飛行場にいったん陸揚げされ、試験飛行を経て、十月から沖縄での本格運用に入る計画だという。
しかし、開発段階の一九九一年から二〇〇〇年までに四件の事故で三十人が死亡。〇七年の実戦配備後、今年も四月に北アフリカのモロッコで、六月には米フロリダ州で墜落事故が続いた。
「寡婦製造機」と呼ばれたほど安全性に懸念が残る航空機を改良されたとはいえ「世界一危険」な普天間飛行場になぜ配備するのか。
配備先の沖縄、一時搬入先の山口両県とも反対するのは当然だ。
説明に訪れた森本敏防衛相に、仲井真弘多沖縄県知事は「断固拒否する」とはねつけた。沖縄では八月五日、配備に反対する県民大会が開かれる。野田佳彦首相は「反原発」同様、直接行動で示される民意を軽く見るべきでない。
オスプレイ配備は沖縄だけの問題にとどまらない。本州や四国、九州各地で最低高度百五十メートルの低空飛行訓練が計画されているからだ。日本全体がこの問題に関心を持ち、声を上げる必要がある。
米海兵隊だけでなく、日本政府に対しても、なぜ配備を止められないのかという不信感が募る。
オスプレイ配備は日米安全保障条約で事前協議の対象とする「装備の重要な変更」に当たらず、日本側の同意は不要とされる。
日本政府は専門家の調査チームが独自に安全性を確認することにしているが、首相は日本側に配備拒否の権限はないとの立場を変えておらず、十月の沖縄での運用開始は現段階では揺るいでいない。
米側が配備を強行すれば、米軍基地が住民の敵意に囲まれ、安保体制の円滑な運用に大きな支障をきたしかねないことに、思いを至らせるべきではないのか。
米国内ではオスプレイの低空飛行訓練計画に周辺住民から懸念が出て、訓練の半年間延期と内容見直しが行われていることが、横浜市のNPOの調査で確認された。
同様のことがなぜ日本ではできないのか。米側による日本国民への差別的対応を日本政府が許すなら対米従属との批判は免れまい。


岩手日報 (2012.7.22)
論説:オスプレイ配備計画 国民の安全はどうする
「オスプレイ」をキーワードに本紙データベースを検索すると、最初に出てくるのが2011年6月の記事だ。同機の沖縄配備計画の有無に関し、地元から再三の追及を受けた政府が「普天間配備」を認めた時期に当たる。
ところが米軍は1996年の時点で、配備案を日本側に打診していたことが、琉球新報の報道で明らかになっている。前年の少女暴行事件に沖縄の怒りが爆発。日米両政府が米軍普天間飛行場(宜野湾市)の返還と、新たな海上基地建設で合意した時期だ。
「歴史的政権交代」を経ても、政府は一貫して配備の可能性をぼかし続けた。この間も米側は当初方針を崩さず、23日にも岩国基地(山口県)に搬入する構えだ。考えられるのは、もともと普天間の移設計画はオスプレイ配備とセットだった可能性だ。
琉球新報記者出身の前泊博盛・沖縄国際大教授が著した「沖縄と米軍基地」(角川oneテーマ21)に、2006年当時の防衛省幹部が「基地移設計画はオスプレイ配備のため」であることを認めている箇所がある。それが事実なら、同機配備の前提は既に崩れていることになる。
市街地のど真ん中にある普天間飛行場は、かつて米政府高官も認めた「世界一危険な基地」だ。その返還も移設も前進しないまま、開発段階から事故が頻発し、今なおやまない「危険な軍用機」を置こうとする米側と、それを追認しようとする日本政府の姿勢からは、国の防衛というものの本質が透けて見える。
国や地域の安全保障は、それが当座の国民生活を脅かしても優先されるべきものなのかどうか。米軍はオスプレイ搬入後、東北の2ルートをはじめ全国6ルートで年間約330回の低空飛行訓練を行う方針だ。本来、同機の配備問題は「全国区」であり、わが国の安全保障の在り方から国民的議論を積み重ねるべき最重要テーマといえよう。
それが沖縄や、当面の搬入先とされている山口両県の問題に特化されている現状は、まやかしにほかならない。
オスプレイ問題で沖縄タイムスが6月から7月にかけて行った全国知事アンケートでは、回答した41知事のうち普天間配備に明確に反対したのは6知事にとどまる一方、賛成はゼロ。本県知事を含め、政府の説明不足などを理由に批判的な見解が目立つ。
原発事故は、国策が、ある時は国民の日常を奪い去ることを知らしめた。過ちを繰り返すわけにはいかない。安全性の見極めすら米側の言いなりという日米同盟の現状を改め、政府が、その責任で調査し証明できない限り、オスプレイの国内配備と訓練実施を認めるべきではない。


岐阜新聞 2012年 7月22日(日)
社説:オスプレイ 安全性を説明できるのか
いわく付きの軍用機が、海路ですぐそこまで来ている。
米政府は、この垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを普天間飛行場(沖縄県)への配備に先立って岩国基地(山口県)に搬入する方針で、日本政府も容認する立場だ。実行されるだろう。安全性に強い懸念を抱く地元を中心に、渦巻く反対を無視する形である。「強行搬入」といえる事態だ。米政府と、米側に「もの言えぬ」日本政府には強く抗議したい。
重要なのは「これから」だ。日米両政府は、今年モロッコと米フロリダ州で計9人が死傷した墜落事故2件の米側の調査と、それに基づく日本側の検証で安全性が確認されるまで日本での飛行はしないとしている。
これは厳守させなければならないし、何より調査、検証結果は、中身を伴うものでなければならない。米側の調査結果が出そろうのは8月。米政府は沖縄での10月のオスプレイ運用開始に固執しており、そのスケジュールに合わせた「儀式」にすることは許されない。
科学的データと知見に基づいて、疑念を差し挟む余地がない程度にまで、国民に安全性を説明できるのか。オスプレイ配備の可否は、その一点にかかっているはずだ。
最近になって、米国防総省系研究所の専門家が以前から乱気流の影響による墜落の危険性を警告していたことなども明らかになっている。調査、検証は、こうした指摘にも答えるものでなければならない。
いま一度振り返ると、オスプレイには危険な「過去」が付きまとう。1989年の初飛行以来、2000年までに4機が墜落し計30人が死亡した。事故によって開発が中断したこともある。
一方の沖縄にも思い出したくない「過去」がある。59年には当時の石川市で小学校に米軍のジェット戦闘機が墜落、児童ら17人が亡くなった。04年には普天間飛行場に隣接する大学に米軍ヘリコプターが落ちた。
二つの過去を重ね合わせたとき、強い不安を感じない方がおかしいだろう。沖縄や山口だけではない。配備後には、本州北部や四国、九州の山間部での低空飛行訓練も計画されているのだから、全国的な問題だ。
これに対し「配備は米政府の方針で、どうしろ、こうしろという話ではない」とする野田佳彦首相の感度は鈍過ぎる。国民の安全を守る最高責任者の言葉とは思えない。
「オスプレイ配備は『装備の変更』。日米安全保障条約に基づく事前協議の対象ではなく、見直しを求める権限はない」というのが野田政権の立場だが、条約や法令は最低限のルールを定めたものにすぎないのだ。抵触しなければ何でもできるわけではなく、事案によって、より丁寧な対応をするのは当然のことだ。現に与党内からも、計画の再検討を求める厳しい声が出ている。
オスプレイは老朽化した輸送ヘリの更新機材。アジアの周辺海域での中国の軍事的台頭を念頭に、米政府は沖縄への配備を急ぎたいのだろう。安全保障面では日本の利益につながることでもある。
しかし、目先の目的を優先させ、日本国民を置き去りにして配備を強行すれば、長期的な日米同盟に深刻なダメージを与えかねない。配備後に事故が起きれば決定的になる。両国政府は肝に銘じるべきだ。


琉球新報 2012年7月22日            
社説 :経済会議不参加 命と財産守る責任、再考を
「欠陥機」と言われる垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの県内配備に反対する県民大会に、県経済団体会議(議長・国場幸一県商工会議所連合会会長)が、組織参加しないことを確認した。
過去の県民大会に同会議は自主参加だったことなどが理由だ。しかし、背景には「政治」的な動きから距離を置きたいとの認識がある。全県を挙げて県民大会開催に取り組む中、同会議の姿勢は残念と言わざるを得ない。
オスプレイの県内配備に反対する動きや県民大会は、政治性が皆無とは言わないが、核心は県民の命と財産を守る取り組みだ。経済活動も県民の安全・安心あってこそだ。経済振興を旨とする同会議の行動理念とも掛け離れてはいない。
県内全41市町村議会が反対を決議し、県議会は超党派で県民大会開催に取り組み、実行委員会は約1700団体に共催団体として参加を要請する。党利党略の動きなら、これほど共感は広がるまい。
1995年の不幸な事件を契機に、沖縄の米軍基地の過重負担にあらためて焦点が当たった。米軍普天間飛行場の移設問題が二転三転する中で、基地問題は決して政治イデオロギーの問題ではなく、むしろ県民の命や安全、人権に関わる問題であり、構造的差別の問題ではないかという、県民の共通認識が積み上がってきている。
オスプレイは県内のみならず、県外でも低空飛行訓練を計画している。墜落の危険が県内だけでなく、全国にまき散らされる懸念がある。全国知事会は緊急決議を採択し、訓練ルート下の自治体からも不満が一気に噴き上がった。
沖縄の基地問題は「抑止力」という言葉の前に思考停止に陥った官僚の不作為もあり、国民的な議論も理解も十分進んでいない。
しかし、今はオスプレイ配備反対を通して訓練ルート下の自治体と連帯し、全国的な理解を深める好機と言えよう。そんな中で沖縄の経済団体の大本が県民大会への参加を見送ることは、配備受け入れの余地もありという誤ったメッセージを与えかねない。
事は単なる機種変更ではない。一度でも墜落事故が起これば県民の命と財産が奪われる死活的問題だ。県経済団体会議は子々孫々の命を守る経済人の責任について熟慮を重ねてほしい。県民大会への参加を再協議してもらいたい。


茨城新聞 2012年7月21日(土)
論説:オスプレイ搬入へ 国民置き去りを許すな
いわく付きの軍用機が、海路ですぐそこまで来ている。
米政府は、この垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを普天間飛行場(沖縄県)への配備に先立って岩国基地(山口県)に搬入する方針で、日本政府も容認する立場だ。実行されるだろう。
安全性に強い懸念を抱く地元を中心に、渦巻く反対を無視する形である。「強行搬入」といえる事態だ。米政府と、米側に「もの言えぬ」日本政府には強く抗議したい。
重要なのは「これから」だ。日米両政府は、今年モロッコと米フロリダ州で計9人が死傷した墜落事故2件の米側の調査と、それに基づく日本側の検証で安全性が確認されるまで日本での飛行はしないとしている。
これは厳守させなければならないし、何より調査、検証結果は、中身を伴うものでなければならない。米側の調査結果が出そろうのは8月。米政府は沖縄での10月のオスプレイ運用開始に固執しており、そのスケジュールに合わせた「儀式」にすることは許されない。
科学的データと知見に基づいて疑念を差し挟む余地がない程度にまで、国民に安全性を説明できるのか。オスプレイ配備の可否は、その一点にかかっているはずだ。
最近、米国防総省系研究所の専門家が以前から乱気流の影響による墜落の危険性を警告していたことなども明らかになっている。調査、検証は、こうした指摘にも答えるものでなければならない。
いま一度振り返ると、オスプレイには危険な「過去」が付きまとう。1989年の初飛行以来、2000年までに4機が墜落し計30人が死亡した。事故によって開発が中断したこともある。
一方の沖縄にも思い出したくない「過去」がある。59年には当時の石川市で小学校に米軍のジェット戦闘機が墜落、児童ら17人が亡くなった。04年には普天間飛行場に隣接する大学に米軍ヘリコプターが落ちた。
二つの過去を重ね合わせたとき、強い不安を感じない方がおかしいだろう。沖縄や山口だけではない。配備後には、本州北部や四国、九州の山間部での低空飛行訓練も計画されているのだから、全国的な問題だ。
これに対し「配備は米政府の方針で、どうしろ、こうしろという話ではない」とする野田佳彦首相の感度は鈍過ぎる。国民の安全を守る最高責任者の言葉とは思えない。
「オスプレイ配備は『装備の変更』。日米安全保障条約に基づく事前協議の対象ではなく、見直しを求める権限はない」というのが野田政権の立場だが、条約や法令は最低限のルールを定めたものにすぎないのだ。
抵触しなければ何でもできるわけではなく、事案によって、より丁寧な対応をするのは当然のことだ。現に与党内からも、計画の再検討を求める厳しい声が出ている。
オスプレイは老朽化した輸送ヘリの更新機材。アジアの周辺海域での中国の軍事的台頭を念頭に、米政府は沖縄への配備を急ぎたいのだろう。安全保障面では日本の利益につながることでもある。
しかし、目先の目的を優先させ、日本国民を置き去りにして配備を強行すれば、長期的な日米同盟に深刻なダメージを与えかねない。配備後に事故が起きれば決定的になる。両国政府は肝に銘じるべきだ。

信濃毎日新聞 2012年07月21日(土)
社説:オスプレイ 国民軽視の強行配備だ
安全性が疑問視されている米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが23日、山口県の米軍岩国基地に陸揚げされる。
防衛省によると、米側は安全を確認した後、試験飛行を行い、沖縄県の普天間飛行場に配備する方針だ。
山口、沖縄両県の自治体だけでなく、全国知事会が反対を表明している。オスプレイ陸揚げは、日米両政府による“強行配備”にほかならない。
防衛省は20日、岩国市の福田良彦市長に搬入を正式に伝え、「米政府は安全性が再確認されるまで日本での飛行運用は控えるとしている」と説明した。福田市長は「陸揚げを再考するように再三要請してきたのに、期待が裏切られた」と抗議している。
全国知事会が19日に受け入れ反対の緊急決議を全会一致で採択したばかりである。米側が本州や四国、九州など各地で飛行訓練を検討していることが明らかになり、安全性への懸念が全国に広がった。沖縄に限定されがちだった米軍基地の問題が共有されつつある、とみることもできる。
開発段階で30人もの犠牲者が出た輸送機だ。今年の4月にはモロッコで、6月には米国で墜落事故が相次いだ。米軍は2件の事故は「機体の不具合ではない」と結論付けているものの、疑問や不安は解消されていない。
森本敏防衛相は政府の専門家チームを米国に派遣し、米国の事故調査に再発防止策を明記するよう要請すると述べている。本来、岩国搬入前にすべきことであり、手順が逆である。
野田佳彦首相は最近のテレビ番組で「配備自体は米政府の方針で、どうしろ、こうしろという話ではない」と語っている。日米安全保障条約に基づく事前協議の対象ではないとする政府の立場を踏まえた発言なのだろう。
だが、国民の生命にかかわる問題だ。とくに普天間飛行場は住宅地に隣接しており、事故は大惨事に結び付きかねない。首相の発言は、国民より米軍に配慮したとみられても仕方がない。
民主党の前原誠司政調会長や国民新党の下地幹郎幹事長が、政府の対応を公然と批判している。与党幹部からも厳しい声が出るのは深刻な事態である。首相の認識が甘かったと言わざるを得ない。
首相は、現段階でのオスプレイ配備を凍結するよう、米政府に強く求めるべきだ。消費税、原発再稼働に続く、野田政権の命運を左右する課題である。


中国新聞 '12/7/21
社説:オスプレイ岩国へ 強まる憤り受け止めよ
強まるばかりの憤りと不安を、日米両政府は一体どう受け止めているのか。
安全性が懸念される米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ。きのう防衛省は23日に岩国基地に陸揚げされると、岩国市や山口県に伝えた。
これまでの計画通り、沖縄・普天間飛行場への配備前に試験飛行するためだ。地元が再三にわたり中止を求めたのに無視された格好である。市長や知事が強く反発したのも当然だろう。
今からでも遅くはない。日本政府は米側に陸揚げを強行しないよう迫るべきだ。百歩譲って基地に持ち込んだとしても、動かさずに「封印」する。それが取るべき道ではないか。
もはやオスプレイは沖縄や岩国だけの問題ではない。
全国知事会議が岩国への先行搬入に反対し、全会一致で緊急決議したことが、その象徴だろう。米軍は普天間に配備後、列島各地で低空飛行訓練を計画している。日頃は米軍との接点が薄い知事たちも、強い危機感を共有したに違いない。
かつて原子力空母エンタープライズの佐世保寄港や空母ミッドウェー横須賀配備をめぐり、強い反発が列島に渦巻いた。今回の事態は、それらにも匹敵する国民的な課題といえよう。
なのに野田佳彦首相は何ら手を打っていないように見える。今週「米政府の方針であり、どうしろこうしろという話ではない」と公言した。民意を甘く見ているとしかいいようがない。
オスプレイの安全性への疑問は膨らむ一方である。海外では同型機が4月と6月に墜落したほか、今月に入って1機が機体トラブルで緊急着陸した。
加えて米国防総省系の研究所の専門家が、乱気流や激しい飛行での危険性を警告していたことも判明した。「機体に問題ない」との説明は揺らいでいる。
墜落事故の調査結果を踏まえ、日本政府として安全性を確認するまでは岩国での試験飛行も控えてもらう。それが防衛省の言い分である。ただ一方で安全確認を待たずに、地上でのエンジン整備は認めるという。
最初から結論ありきとしか思えない。米軍側の一方的な「安全宣言」を追認するのでは意味がない。せめて危険性を指摘する専門家から、日本が独自に意見を聴くべきではないのか。
米国の姿勢も首をひねる。自国では安全性や騒音を不安視する住民にしっかり配慮しているからだ。ニューメキシコ州の空軍基地での飛行訓練は、地元の反対運動で延期したという。
日本国内の不安の声に耳を傾けないようでは到底、「対等の同盟国」とはいえまい。
さすがに対米関係を重んじる立場からも異論が出ている。とりわけ日米安保に精通する民主党の前原誠司政調会長は首相を公然と批判し、米側との再交渉を求めた。「米国に物を言えないなら日米同盟はおかしくなる」との指摘はもっともだ。
日米政府は重く受け止め、配備計画を根本から見直してもらいたい。オスプレイは従来の輸送ヘリより速度も航続距離も格段にアップする。ならば自国領のグアムに置いたとしても、役割は果たせるのではないか。
岩国にはあさって、全国の目が注がれる。市も県も安易な妥協は許されまい。「ノー」を言い続ける覚悟が求められる。


山陰中央新報 2012年7月21日
 論説 :  オスプレイ配備/安全性の確認が最優先だ
垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場(沖縄県)への配備で米政府は岩国基地(山口県)への搬入を日本側に伝え、12機を搭載した民間船が23日までに到着する。
日本政府は搬入を容認する立場だが、安全性に強い懸念を抱く地元を中心に反対論が起きている。全国知事会も「安全性の確認ができていない現状では受け入れることができない」などとして、普天間への配備や国内での低空飛行訓練に反対する緊急決議を採択した。
知事会では、低空飛行訓練ルートの候補地とされる県の知事を中心に「訓練など運用面や事故の危険性などが不明確。政府は米国にきちんと確認を求め、手順を踏んだ対応を行うべきだ」(溝口善兵衛島根県知事)、「山口、沖縄両県を明確にサポートすべきだ」(平井伸治鳥取県知事)などの意見が相次いだ。
決議は「外交・防衛政策の重要性は都道府県も認識しており、協力する必要がある」としながらオスプレイ墜落事故後の日米両政府の対応、特に説明が不十分と指摘。日本政府が岩国基地への先行搬入と試験飛行を許すことは「日米の良好な関係維持への重大な影響が懸念される」とけん制した。
重要なのは今後の対応だ。日米両政府は、今年モロッコと米フロリダ州で計9人が死傷した墜落事故2件の米側の調査と日本側の検証で安全性が確認されるまでは、日本での飛行はしないとしている。これを厳守してほしい。
米側の調査結果が出そろうのは8月。米政府は10月に沖縄で運用開始にこだわっているが、スケジュールに合わせるのではなく、科学的データと知見に基づいて国民に安全性を説明できるまで内容を詰めなければならない。オスプレイ配備の可否はその点にかかっている。
最近になって、米国防総省系研究所の専門家が乱気流の影響による墜落の危険性を警告していたことなども明らかになっている。調査、検証は、こうした指摘にも答えるべきだ。
不安を感じるのは沖縄や山口だけではない。配備後には、本州北部や四国、九州の山間部での低空飛行訓練も計画されている。これまでにも米軍機訓練の低空飛行が問題になっていた島根県西部など全国的な問題として扱う必要がある。
「オスプレイ配備は『装備の変更』。日米安全保障条約に基づく事前協議の対象ではなく、見直しを求める権限はない」というのが野田政権の立場だが、条約や法令は最低限のルールを定めたものにすぎない。抵触しなければ何でもできるわけではなく、事案によって、より丁寧な対応をするのは当然だ。
オスプレイは老朽化した輸送ヘリに替わる機材だ。配備されると輸送力が大幅に上がるため、アジアの周辺海域での中国の軍事的台頭を念頭に、米政府は沖縄への配備を急いでいる。その点では安全保障面で日本の利益につながることでもある。
しかし目先の目的を優先させ、国民の懸念を置き去りにして配備を強行すれば、長期的な日米同盟にダメージを与えかねない。配備後に事故が起きればそれが決定的になる。両国政府は安全な運用が大前提にあることを肝に銘じ、必要な情報の開示に努めてほしい。


高知新聞 2012年07月21日08時22分
社説【オスプレイ】どうして米国に物申さぬ
「目の前の住民の安全を考慮しない日米安保体制はどうなのか」――山口県知事が報道陣に語った言葉は、多くの国民に共通した思いではないか。
安全性への強い懸念がある米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が23日、米軍岩国基地(山口県岩国市)に陸揚げされるという。
4月にモロッコで、6月に米本土で起きた墜落事故の調査結果を米側は8月までに日本側に報告し、安全性が確認されるまでは国内での運用は控えるとしている。
ただし岩国基地から配備先の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に移された後、本格運用は当初予定した10月初旬から始める方針だ。
調査結果が出る前に、運用時期を決めているのもおかしな話だが、米側は一貫して機体の不具合が墜落原因ではなく、安全上問題なしとしている。このままでは既定方針通りに飛行が始まる可能性がある。
山口、沖縄両県知事は配備中止や見直しを繰り返し政府に求めている。本州や四国、九州など各地で低空飛行訓練が予定されており、全国知事会も配備や訓練に反対する緊急決議を採択した。オスプレイを拒否する多くの国民の意思と言えるだろう。
こうした状況の中、野田首相や森本防衛相は国民の意思を米側に伝える十分な努力をしただろうか。
配備について野田首相は「米政府の方針で、どうしろ、こうしろという話ではない」。森本防衛相も「米国に注文を付ける考えはない」と、それぞれテレビ番組や国会で述べている。
背景にはオスプレイ配備を日米安保条約で定めた事前協議の「対象外」とする政府の立場があるようだ。装備の重要な変更ではなく、「機材の変更」(藤村官房長官)との考え方のために米側の配備要望をのんでしまう。
しかし配備先の普天間は人口密集地にあり、現状でも「世界一危険な飛行場」とされる。墜落の危険性がある機体がその周辺を飛び、しかも飛行ルートは全国各地に設定されている。
私たちの安全が脅かされるかもしれない状況にもかかわらず、日米安保条約の解釈から米側に物申さない。国民の生命と財産を守らねばならない政府の在り方として、これが許されるのか。オスプレイ陸揚げが迫っている。しっかり国民の意思を米側に伝える。本来の政府の仕事を果たすべきだ。


宮崎日日新聞 2012年07月21日
社説:オスプレイ搬入
配備強行は日米同盟に痛手 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、防衛省は岩国基地に搬入する方針を山口県と岩国市に伝えた。
安全性に強い懸念を抱く地元の声を無視する形で「強行搬入」といえる事態だ。本県北部上空も飛行訓練ルートに含まれており、万が一の心配もある。日米両政府に強く抗議したい。
■安全性説明できるか■
オスプレイは1989年の初飛行以来、2000年までに4機が墜落し計30人が死亡している。米政府はアジアの周辺海域での中国の軍事的台頭を念頭に、普天間飛行場(沖縄県)への配備を急ぎたいと考えられる。
日米両政府は、モロッコと米フロリダで計9人が死傷した今年の墜落事故2件の米側の調査と、それに基づく日本側の検証で安全性が確認されるまで日本での飛行はしないとしている。
科学的データと知見に基づき、疑念を差し挟む余地がない程度にまで、国民に安全性を説明できるのか。オスプレイ配備の可否は、その一点にかかっている。
最近、米国防総省系研究所の専門家が以前から乱気流の影響による墜落に危険性を警告していたことなども明らかになった。調査、検証はこうした指摘にも答える内容でなければならない。
米の調査結果が出そろうのは8月。米政府は沖縄での10月のオスプレイ運用開始に固執しており、そのスケジュールに合わせた「儀式」にすることは許されない。
沖縄では1959年、当時の石川市で小学校に米軍のジェット戦闘機が墜落、児童ら17人が亡くなった。2004年には普天間飛行場に隣接する大学に米軍ヘリコプターが落ちた。
■本県でも飛行訓練■
事故を思い出せば、誰もが強い不安を感じるはずだ。沖縄や山口だけではない。配備後には本州北部や四国、本県を含む九州の山間部での低空飛行訓練も計画されており、全国的な問題だ。
野田佳彦首相は「配備は米政府の方針で、どうしろ、こうしろという話ではない」としている。国民の安全を守る最高責任者として鈍感すぎるのではないか。
「オスプレイ配備は『装備の変更』。日米安全保障条約に基づく事前協議の対象ではなく、見直しを求める権限はない」というのが野田政権の立場。だが条約や法令は最低限のルールを定めたものにすぎないのだ。
抵触しなければ何でもできるわけではなく、事案によってより丁寧な対応をするのは当然のこと。現に与党内からも、計画の再検討を求める厳しい声が出ている。
オスプレイ配備は、安全保障面では日本の利益につながるかもしれない。しかし国民を置き去りにした配備の強行は、長期的な日米同盟に深刻なダメージを与えかねないし、配備後に事故が起きればそれは決定的になることを両国政府は肝に銘じるべきだ。


琉球新報 2012年7月21日            
社説:全国知事会決議 もはや配備は不可能だ
米垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備への懸念が大きなうねりになりつつある。全国知事会が「安全性について確認できていない現状では受け入れることができない」との緊急決議を採択した。
もはや配備は不可能だ。危機感の広がりを政府は受け止めるほかない。まず国内への持ち込みを止め、その間に仕切り直しを米国と協議すべきだ。
米軍基地を抱える都道県と他の府県とでは、もともと温度差がある。全国知事会で基地問題を取り上げると、冷ややかな空気が漂うのは珍しいことではない。
その意味で、今回の決議の可決は極めて異例だ。飛行ルートが全国にまたがり、いわば「全国の沖縄化」が進んだからだろう。
会議で平井伸治鳥取県知事は「政府は『米軍から通知が来れば知らせる』と(言う)。こんな政府はない。どこに主権があるのだ」と批判した。われわれが常々主張していることだ。日米関係、なかんずく米軍基地をめぐる関係の非正常ぶりが、沖縄では顕在化していたが、ようやく全国的にも可視化されたようだ。
米国の二重基準(ダブル・スタンダード)もまた露呈した。オスプレイの低空飛行訓練が予定されていた米国ニューメキシコ州のキャノン空軍基地で昨年8月、環境評価書案が公表されると、住民の反対運動が起き、米空軍は訓練延期や内容の見直しを決めた。
民主党の前原誠司政調会長は「米国では訓練を止めるのに日本で計画通りというのは、私は納得できないし、山口や沖縄の方々はもっと納得できない」と森本敏防衛相に述べた。これも沖縄が常々指摘してきたことであり、誰が見ても当然の主張だろう。
それでもなお、政府は民意が分かっていないようだ。森本氏は19日も「(今の日程を)変えるべきでないし、変えたくない」と述べている。あきれるほどの鈍感さだ。米国の意向の前では何も考えられないと言わんばかりである。植民地国の閣僚と見まがう思考停止ぶりだ。
野田佳彦首相も「配備は米政府の方針で、どうしろ、こうしろという話ではない」と述べた。事実上の属国宣言だ。日本の空と陸の使い方を米国が決め、日本政府は異議を挟めないと言うに等しい。
国家主権を放棄し、国民の命を守れない政権はいらない。民意に背く政権は早く退場してほしい。

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