2014年7月31日木曜日

辺野古「殺人鉄板」 現代版「銃剣とブルドーザー」

安倍政権の横暴露骨 強権発動は許されない 住民運動へのどう喝、かく乱、だまし討ち


-----これほど沖縄と敵対する政権が過去あっただろうか。
住民運動へのどう喝、かく乱、だまし討ち。

普天間飛行場の名護市辺野古への移設を強行する安倍政権の横暴性が、いよいよ露骨になってきた。
県民はいま「県内移設ノー」の訴えを平然と押しつぶす政権の横暴と差別性を目の当たりにしている。(琉球新報)

-----米軍統治下、基地建設のため住民は米軍の銃剣とブルドーザーによって暴力的に土地を接収された。
新基地建設は、日本政府による現代版の「銃剣とブルドーザー」である。

強権的に沖縄の軍事要塞(ようさい)化を進めるのは許されない。(沖縄タイムス)

<各紙社説・主張>
琉球新報)辺野古「殺人鉄板」 直ちに撤去し人命守れ(7/31
北海道新聞)沖縄県知事選 辺野古移設を問い直せ(7/30
しんぶん赤旗)辺野古のたたかい 「島ぐるみ」の心に固く連帯(7/30
琉球新報)島ぐるみ会議 尊厳回復へ再結集を(7/29
沖縄タイムス)[辺野古衝突]知事の責任は免れない(7/29
神戸新聞)辺野古移設計画/国は誠実に説明すべきだ(7/28
琉球新聞)安倍政権の横暴性 県民にこそ正当性がある(7/27
沖縄タイムス)[辺野古緊迫]強権発動は許されない(7/19

琉球新報 2014731 
社説:辺野古「殺人鉄板」 直ちに撤去し人命守れ
 国策に抵抗する者は負傷しても、死んでも構わないというのか。県民の生命を差し置いても普天間飛行場の辺野古移設を強行しようとする政府の手法に怒りを覚える。

 沖縄防衛局がキャンプ・シュワブのゲート前に三角形の突起が並んだ鉄板を設置した。移設に反対し、座り込みを続ける市民らは抗議行動の排除を狙ったものだとして反発している。 防衛局はゲートに出入りする工事車両の「泥落とし」だと説明している。この説明を真に受ける県民はほとんどいないであろう。 「泥落とし」が目的ならば、ゲートの内側に鉄板を据えればよいではないか。工事現場でタイヤや車体に付いた泥はその現場の出口で洗い流せば済む話だ。舗装された国道を長く通行してきて、ゲートに入る車両に多量の泥が付着するとは思えない。防衛局の説明は矛盾している。市民が指摘するように抗議行動の抑止が目的であることは明らかだ。 市民と警察官のもみ合いが連日起きているゲート前に、鋭角の突起物が並んだ鉄板を設置することがどれほど危険か、防衛局の担当者が知らないはずはない。 鉄板の上で激しく転倒すれば、骨折などの重傷を負う恐れがある。打ちどころが悪ければ生命にも関わるかもしれない。それを予期した上で鉄板を設置したのならば、あまりにも残酷だ。 鉄板などの設置について防衛省の武田博史報道官は記者会見で「歩行者等の安全な横断を確保することなどを目的に、ゲートの整備を行っている」と述べた。だが、実態はまるで正反対だ。防衛局のやっているのは真逆のことだ。鉄板の設置は市民に危害を加える行為に他ならない。現場を訪れた弁護士は「鉄板の上で取り締まりがあれば必ずけが人が出る。殺人罪、少なくとも傷害罪の未必の故意になる」と明確に指摘している。 米軍統治下の反戦・反基地運動のさなか、憲兵隊は銃剣を突き付けた。基地のない平和な島を希求する大衆運動に対する威嚇行為だった。その非人道的な行為が普天間の辺野古移設の名の下に再現された。これも安倍内閣の専横の表れだといえる。 県内移設を拒む県民世論に支えられた抗議行動を敵視し、市民の生命を奪うような行為は断じて許されない。憲法が保障する「表現の自由」に照らしても「殺人鉄板」を直ちに撤去すべきだ。
 もう一度、県民の心を結集させたい。会場に共通していたのはそんな思いだ。「オール沖縄」再構築の必要性をあらためて自覚したい。
 登壇者の金城徹那覇市議が述べたように、世論調査では今も県内移設反対が74%もあり、その中には自民党支持者も多い。辺野古反対は保革を超えた民意だ。
 沖縄は全国のどこよりも米軍基地の被害を深く受けてきた。例えて言えば、原発被害の辛酸をなめた福島県で、県民の7割超が原発新設に反対する中、政府が原発建設を強行したりするだろうか。だが沖縄でならそれをしてもよい。政府は明らかにそう見なしている。誰が考えても差別であろう。
 呉屋守将金秀グループ会長は「経済活動は大事だが、ウチナーンチュの尊厳、基本的人権、平和はもっと重要だ」と訴えた。ひときわ大きな拍手が起こったのは、会場の多くがその被差別認識を共有しているからだろう。
 県内移設断念を求めて県内41市町村の全首長、全議長、県議らが署名した昨年1月の「建白書」提出は戦後史に特筆される。「銃剣とブルドーザー」と称される米軍の軍用地強制接収・一括買い上げに抵抗した「島ぐるみ闘争」以来の、県民を挙げた運動だった。
 仲井真弘多知事らの容認でその枠組みは崩れたが、仲里利信元県議会議長が鋭く指摘したように「沖縄で保革がけんかをして喜ぶのは日本政府と米国」だ。移設強行を止めるという民意を実現するためにも、県民の再結集が必要だ。
 何も絶望することはない。民主主義と人道に照らせば、理は沖縄にある。沖縄が一つになって意思表示すれば、世界最強の米軍でさえ土地の買い上げを撤回した。「島ぐるみ」の効果は歴史で実証済みなのだ。
 差別を受けてもいいという人は世の中にいない。だから人としての尊厳ある扱いを求める沖縄の意思は不可逆的である。辺野古移設強行はそんな差別の象徴だ。理不尽な扱いの代償の重さを、日米両政府に思い知らせよう。


北海道新聞 (2014/07/30
社説:沖縄県知事選 辺野古移設を問い直せ
 11月16日投開票の沖縄県知事選に向けた動きが活発化してきた。
 現職の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が3選出馬の意向を表明し、翁長雄志(おながたけし)那覇市長も出馬の意向を固めた。ともに自民党系で保守分裂の構図だ。
 最大の争点は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非である。昨年12月に埋め立てを承認した仲井真氏は推進を訴えるのに対し、翁長氏は反対を主張する。
 前回、普天間の県外移設を訴えて当選した仲井真氏の方針転換に県民の不満は強い。負担を押しつける国の強硬姿勢も問われる。
 もつれた問題をしっかり問い直し、示される民意に注目したい。
 選挙戦の構図は複雑だ。
 埋め立て承認に伴って国から巨額の交付金を獲得した成果を評価する声もあり、自民党県連は仲井真氏に出馬を要請した。
 しかし、自民党本部は仲井真氏が「勝てる候補」なのか懐疑的で、当惑気味だ。連立政権を組む公明党の県本部が強い拒否反応を示していることも影響している。
 自民党は国政選挙で辺野古移設を掲げる一方、地元組織が反対する二重基準を用いてきた。有権者に対し不誠実である。知事選では主張を一本化して臨むのが筋だ。
 翁長氏は前回仲井真陣営の選対本部長だったが、埋め立て承認に反対し対決姿勢に転じた。自民系那覇市議の一部のほか、共産、社民両党も推薦の構えだ。
 下地幹郎・元郵政民営化担当相も無所属で出馬の意向で、反仲井真票が割れることも予想される。
 埋め立て承認を取り消す規定はなく、新知事が撤回できるかは不明だ。反対派陣営は、辺野古移設案をどのように県外・国外移設に転換していくか、具体的な道筋を示す必要があろう。
 気になるのは辺野古での作業が加速していることだ。国は今月、海底ボーリング調査を申請し、県が許可した。地元の反対を押しのけて、月内の調査着手に向けた資材搬入が始まっている。
 既成事実を積み重ね、後戻りできないことを印象づける試みなら許されない。知事選が終わるまで作業を行うべきではない。
 推進派を後押しする政府の姿勢も疑問だ。普天間の米軍新型輸送機MV22オスプレイの訓練を北海道大演習場など全国5カ所に移転する計画があることが分かった。
 沖縄の負担軽減を強調して知事選を有利に運ぼうとする態度が露骨である。アメとムチで地方を従わせるのではなく、民意に静かに耳を傾けることが大事だ。


しんぶん赤旗 2014730()
主張:辺野古のたたかい 「島ぐるみ」の心に固く連帯
 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地を何が何でも名護市辺野古(へのこ)に建設しようと暴走する安倍晋三政権が、県民無視の強権姿勢をますますむき出しにしています。埋め立て工事に向けた海底掘削(ボーリング)調査の関連資材を夜陰に隠れて運び込むなど、なりふり構わぬ防衛省のやり方は、新基地建設に一片の道理もないことを象徴するものです。昼夜分かたず抗議行動を続ける人々と新基地反対の県内外の世論にこそ大義があるのは明白です。
常識と乖離(かいり)した強行
 あまりにも、常識とかけ離れています。
 防衛省は20日深夜や22日未明などに、ボーリング調査予定水域に隣接する米海兵隊基地キャンプ・シュワブに関連資材を次々に搬入しました。27日には、同基地のゲート前に、通行を制限する鉄柵まで新設しました。基地海側では、抗議する住民などを寄せつけないための浮標(ブイ)や浮具(フロート)を設置する際に使用されるとみられる浮桟橋も完成させました。浮桟橋の設置に抗議するためカヌーで海にこぎ出た男性を海上保安庁が一時拘束し、強制排除する事態も生まれています。
 安倍政権が狙うボーリング調査は、9地点に単管足場(鉄パイプを組み合わせて建てる足場)、12地点にスパット台船(海底に支柱を突き立て固定する作業台船)を設置して行う計画です。作業期間は11月末までです。
 すでにボーリング調査に対する海上抗議行動を締め出すため、以前からシュワブ沖にあった立ち入り禁止水域を大幅に拡大しています。立ち入り禁止水域の境界や足場周辺にブイやフロートを張り巡らし、調査を強行しようという狙いです。
 日本自然保護協会は今月、埋め立て予定海域(大浦湾)にある藻場で、絶滅危惧種ジュゴンの食痕を110本以上確認したと発表しました。防衛省の環境影響評価(アセスメント)での予測に反し、ジュゴンが同海域を頻繁に利用していることを示すものであり、このことだけでも埋め立て計画は即刻中止すべきです。
 安倍政権が、地元名護市や県民多数の新基地反対の声を無視してボーリング調査を強行しようとしていることに、地元紙が「これほど沖縄と敵対する政権が過去にあっただろうか」(琉球新報27日付)と怒りの声を上げているのは当然です。安倍政権がちらつかせる垂直離着陸機オスプレイの本土への訓練移転などが、「沖縄の負担軽減」にならないことを県民はすでに見抜いています。
基地による支配拒絶
 保守・革新の立場を超えて2000人以上の参加で成功した27日の「沖縄『建白書』を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」結成大会のアピールは、新基地建設強行を「名護市民と沖縄県民の民意と尊厳を踏みにじり、社会正義と民主主義の基本をも否定するもの」と糾弾し、沖縄の全市町村長、議会議長らが昨年1月に普天間基地の閉鎖、県内移設断念などを求めた「建白書」実現のため、「沖縄の心をひとつにし、島ぐるみの再結集を」と呼びかけました。
 「基地に支配され続ける沖縄の未来を、私たちは拒絶します」(アピール)。沖縄のたたかいに全国が固く連帯することが急務です。


琉球新報 2014729 
社説:島ぐるみ会議 尊厳回復へ再結集を
 立場の違いを超える言葉が、これほど求められた大会もないだろう。27日の島ぐるみ会議結成大会は人波であふれたが、参加者は登壇者のあいさつに聴き入った。中でも保守政界や経済界の登壇者のあいさつは静けさに包まれ、県民の再結集を呼び掛ける意見にはひときわ大きな拍手が上がった。


沖縄タイムス 2014729 05:30
社説[辺野古衝突]知事の責任は免れない
 米軍普天間飛行場を名護市辺野古沿岸部へ移設しようとする安倍政権の問答無用の姿勢がむき出しになっている。
 11月の知事選前に海上でのボーリング調査などの既成事実をつくるため、全国の海上保安本部から巡視船十数隻をかき集め、キャンプ・シュワブ沖合をはじめ、沖縄近海に展開している。海上でカヌーなどを使って反対行動をする市民らを排除するためだ。
 陸上ではキャンプ・シュワブのゲート前で資機材を運び込む大型トラックを阻止しようと体を張って座り込む市民と、警察官との衝突が続いている。いつ不測の事態が起きてもおかしくない。
 安倍政権が移設を「負担軽減」というのはまやかしである。新基地には米海兵隊の強襲揚陸艦が接岸できる軍港機能が備えられ、最新鋭のステルス戦闘機F35の運用を想定。中部訓練場上空の訓練空域を拡大する考えだ。シュワブの陸上にも多数の軍関連施設を建設する計画であることが明らかになっている。
 オスプレイの配備を環境影響評価(アセスメント)の最終段階である評価書の段階になって初めて記載したように、これらは究極の後出しじゃんけんか、米側からもたらされる情報だ。政府が徹頭徹尾、情報を隠したまま負担軽減といってはばからない。だまし討ちである。
 新基地ができると北部訓練場、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンと一体となった一大軍事要塞(ようさい)が形づくられるのである。これのどこが負担軽減というのだろうか。
    ■    ■
 政府が工事を進めるのは仲井真弘多知事の「承認」があるからだ。仲井真知事は2期目の出馬に当たって「普天間の県外移設」を掲げ、1期目の公約を転換して当選した。
 再選した仲井真知事の公約の肝だ。それを自ら覆して承認したのは、どんな理屈をつけようが県民に対する裏切りである。しかも移設問題を最大の争点にした名護市長選では移設に断固反対することを公約に掲げた稲嶺進市長が再選されているのである。
 仲井真知事は、辺野古移設が普天間問題を解決する最短の方向だと言明するまでになっている。県民の生命と財産を守るのが知事の最大の使命だ。県民同士を衝突の前線で争わせながら、知事の振る舞いは人ごとのようである。安倍政権の強権発動に高みの見物を決め込むつもりなのだろうか。一触即発の元をたどれば仲井真知事の承認に行き着く。不測の事態が起きた場合に知事はどう責任を取るつもりなのだろうか。
    ■    ■
 2013年1月、県議会各会派、41市町村長・議会議長らが署名し、安倍晋三首相に提出した「建白書」は1995年以来の県民総意の到達点だ。普天間の閉鎖・撤去、県内移設断念、オスプレイの配備撤回である。「オール沖縄」から自ら進んで、または中央の圧力に屈し離脱したのが自民党国会議員であり、県連であり、一部首長らである。
 このままでは沖縄は半永久的に基地から逃れられない島になる。子や孫の世代から承認の責任を問われたとき、知事はそれに答えられるか。


神戸新聞 2014/07/28
社説:辺野古移設計画/国は誠実に説明すべきだ
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題で、新たな疑問が浮上した。兵員宿舎など30棟以上の施設を建設する大規模な基地整備が、ひそかに計画されているというのである。
 政府は日米合意に基づき、米海兵隊基地キャンプ・シュワブ内の沿岸部を埋め立ててV字型滑走路などを建設する計画を進めている。
 表面化したのは、内陸部にも宿舎や運動場、駐車場などを含む施設を整備する内容だ。これまで公表されておらず、共同通信が入手した米政府の内部文書で明らかになった。
 「米軍基地の大規模化や永久化につながる」という沖縄県民の懸念は当然だ。情報を隠していたのであれば国民に対する背信行為であり、政府の責任は極めて重い。事実をきちんと説明すべきである。
 内部文書によると、宿舎などは沿岸に近い森林地帯を開発して建設される。従来の政府の説明では「埋め立て土砂の採取地域」とされ、施設予定地にはなっていなかった。
 米側の図案では多数の軍事関連施設が明記されている。機能を拡充する狙いが見て取れ、「基地負担の軽減」に逆行するというしかない。
 市民の水源地である貯水池周辺が開発されることになり、その点でも不安を覚える住民は多いだろう。
 沖縄防衛局は「米軍の計画は承知していない。跡地は緑化を行う」としている。だが、米文書には、整備計画は日本政府にとって機微に触れる問題で、国民に隠されている‐とはっきり記されている。
 米国は防衛省に情報公開を促してきたといい、日本側の秘密主義に当惑しているともされる。
 沖縄返還時の密約問題でも、日本政府は文書の存在を否定したが、米側の公文書で確認された。今回は、新型輸送機オスプレイの沖縄配備を事前に知りながら認めていなかった事実も併せて発覚した。都合の悪い事実を隠す体質が温存されているのなら、不信は深まるばかりだ。
 政府は辺野古沿岸部の埋め立てに向け、海底ボーリング調査の準備を進める。工事用船舶以外の航行を禁じる臨時制限区域を設けて反対運動を排除する構えだが、力ずくの姿勢ではさらに強い反発を招く。
 国民に隠し事をする政府の言葉など、誰も信用しなくなる。まず事実をつまびらかにすることだ。


琉球新聞 2014727
社説:安倍政権の横暴性 県民にこそ正当性がある
 これほど沖縄と敵対する政権が過去あっただろうか。住民運動へのどう喝、かく乱、だまし討ち。普天間飛行場の名護市辺野古への移設を強行する安倍政権の横暴性が、いよいよ露骨になってきた。県民はいま「県内移設ノー」の訴えを平然と押しつぶす政権の横暴と差別性を目の当たりにしている。
 海底ボーリング調査に向け、夜間や未明にキャンプ・シュワブへ資材が搬入された。住民からは「だまし討ち搬入を許さない」という抗議の声が上がった。基地反対運動の裏をかく沖縄防衛局の常とう手段であり、県民の声を切り捨てる安倍政権の抑圧的な性格もここに表れている。
 中城海上保安部がシュワブ沖500メートルにある長島に設置した「使用・立入禁止」と記した看板も不可解だ。上陸時に利用する桟橋の使用を禁じたものだ。長島は常時立ち入り禁止とされる「臨時制限区域」の境界線近くに位置する。
 保安部は「島自体への立ち入りを禁止するものではない」と説明する。ところが桟橋を使わなければ上陸は困難といい、保安部の説明は全く理解できない。島自体への立ち入りを事実上禁止しており、抗議行動を封じ込める狙いがあることは明らかである。
 これらを見るだけでも、普天間飛行場の辺野古移設に固執する安倍政権には民主主義を踏まえた正当性が存在しないことが分かる。辺野古沿岸部を埋め立て、新基地を建設するためには手段を選ばないという乱暴さが前面に出ている。
 このようなことが日本の他地域で許されるとは到底思えない。もしも沖縄ならば可能だと安倍晋三首相が考えているのであれば、この政権が抱える差別性の極みである。
 「辺野古の海を守ろう」という県民の訴えは海外でも共感を広げている。海外識者による米軍普天間飛行場即時返還と辺野古新基地建設反対の声明には1万1700人余が賛同の署名を寄せた。
 昼夜を問わず抗議行動を続ける住民と、それを支える県民世論にこそ正当性がある。沖縄防衛局がボーリング調査を強行しようとしている今、そのことをあらためて確認したい。
 シュワブ第1ゲート前では基地移設に反対する住民と県警の激しいもみ合いが連日続いている。県民と敵対する政権は許されない。安倍政権は沖縄への抑圧や差別性を改め、直ちにボーリング調査を断念し、移設計画を見直すべきだ。


沖縄タイムス 2014719 05:30
社説[辺野古緊迫]強権発動は許されない
 米軍キャンプ・シュワブ沖の広大な立ち入り禁止区域の境界にブイ(浮標)を並べ、海底ボーリング調査の足場周辺にフロート(浮具)を張り巡らす。ブイ周囲は、海上保安庁のゴムボートや民間警備船、警戒船が監視に当たる-。こんな異様な厳戒態勢を敷いてまで工事を強行するというのか。到底容認できない。
 米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古での新基地建設をめぐり、工事区域を示すために沖縄防衛局が準備を進めているブイ設置計画の概要である。防衛局は来週以降、ブイ設置に着手し、月内にボーリング調査を始める方針だ。作業期間の11月30日までに、延べ1252隻の警戒船を出す予定であるという。
 ブイ設置やボーリング調査は、シュワブ内から船を出し、沿岸部から沖へ向かって作業を進める。区域をフロートで囲み、周辺を漁船などで警戒し、反対行動を遠ざける狙いだ。シュワブへの資材搬入に備え、県警・海上保安庁、警備業者が連携を図り、基地のゲートなどを24時間体制で警戒するという。
 安倍晋三首相は6月に来県した際、辺野古のボーリング調査について「しっかりと地元の方々、県民の皆さまに説明していきたい」と述べた。言葉と行動がまったく逆である。不誠実きわまりなく、県民を愚弄(ぐろう)するものだ。
 名護市長選で示された地元の民意を無視し、半永久的な米軍飛行場を造ることに正当性はない。このまま新基地建設が強行されるなら、沖縄は「軍事植民地化」がさらに強化されるといわざるを得ない。
    ■    ■
 ボーリング調査では、辺野古沖の水深の深い12地点にスパット台船、9地点に単管足場を設置。潜水などで磁気探査を行った後、海底21地点を掘削する。
 防衛局が提出したボーリング調査の協議書で県は17日、岩礁破砕の許可は不要と判断し、調査実施を了承した。だが、県水産課による判断は漁業の観点からの了承であり、自然環境への影響は考慮されていない。
 日本自然保護協会は今月、辺野古の埋め立て予定地内で、5月半ばから7月初めにかけて約2カ月の調査で絶滅危惧種ジュゴンの食痕(しょくこん)が110本以上確認されたと発表し、埋め立て事業の中止と大浦湾の保全を求めた。
 ジュゴンの保護に関しては国際自然保護連合(IUCN)が、2000年、04年、08年と3度の勧告を出している。工事の強行は国際社会からの警告も無視することになるのである。
    ■    ■
 埋め立てを承認した仲井真弘多知事は、18日の記者会見で、辺野古の新基地建設への反対運動を念頭に「そう簡単ではない、と前にも申し上げた。今でも」と述べた。県民の生命、財産を守るべき知事の責務を忘れた人ごとのような発言だ。
 米軍統治下、基地建設のため住民は米軍の銃剣とブルドーザーによって暴力的に土地を接収された。新基地建設は、日本政府による現代版の「銃剣とブルドーザー」である。強権的に沖縄の軍事要塞(ようさい)化を進めるのは許されない。

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